ここから本文です

白鵬 勝つ術を知る大横綱の言葉 稀勢の里の優勝を予感

4/20(木) 14:04配信

デイリースポーツ

 史上最強横綱の視点だからこそうなずいた。大相撲の横綱白鵬(32)=宮城野=が17日の東京・靖国神社から春巡業に合流。春場所(3月26日千秋楽、エディオンアリーナ大阪)で横綱稀勢の里(30)=田子ノ浦=が左大胸筋、左上腕二頭筋損傷の負傷に耐え、大逆転優勝したことを独自の目線で解説した。

【写真】白鵬 元横綱の甥と対面「目元が似ている」

 「皆さんと見方は違うかもしれないけど、14日目で勝負はあった。稀勢の里ではなく照ノ富士」。大阪市内の部屋でテレビ観戦した横綱はあの千秋楽の“奇跡”を予感していたという。

 日本中を熱狂させたあの2日を振り返ってみる。14日目、負傷を押し強行出場した稀勢の里は横綱鶴竜(31)=井筒=に力なく敗れ2敗に後退した。1敗で並び優勝を争っていた大関照ノ富士(25)=伊勢ケ浜=は関脇琴奨菊(佐渡ケ嶽)を相手に右に変化して勝利。1差を付け、単独首位に立ち、千秋楽で直接対決となった。

 手負いの稀勢の里が本割、優勝決定戦と連勝することは厳しく優勝は照ノ富士優位が周囲の見方だった。しかし白鵬は「あれ(照ノ富士の変化)で勝負があった」と断言。千秋楽は「自ら小さくなって相撲が硬くなった」と、まさに思った通りの結果になった。

 本割、左腕を封じられた稀勢の里は右へ左へ変化し、スタイルを一変させた。逆に照ノ富士は地に足が付かず、持ち前のパワーを発揮できなかった。

 「(変化が)千秋楽ならいいんだけどね。もうそれで終わりだから」との言葉は深い。

 白鵬自身、立ち合いの変化を何度も批判にさらされてきた。稀勢の里相手だけでなく。ここぞの勝負どころでは、奇襲をしかけてきた。賛否両論あるだろうが、「15日間、気は抜けないし、ドラマがある」と、大相撲史上最多37度の優勝を重ねた大横綱は“勝負のあや”を知っている。

 15日間という長丁場は心理戦でもある。“切り札”を先に抜いてしまった照ノ富士には焦りが見えた。逆に14日目の星を“捨てて”まで千秋楽にかけた稀勢の里は開き直った。“結果論だから何とでも言える”と言ってしまえばそれまでだが、白鵬の言葉だからこそ説得力も十分にある。

 春場所は右太もも、右足親指の負傷で5日目から途中休場。場所後に1週間、モンゴルに帰国し、治療、リハビリに専念した。故障が増え、気力の衰えも見え隠れするようになった。ただ百戦錬磨の大横綱が勝つ術(すべ)を知り尽くすのは確か。夏場所(5月14日初日、両国国技館)はプライドをかけた15日間になる。(デイリースポーツ・荒木 司)