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<米抜きTPP>米復帰は見込めず「11カ国で」方針転換

毎日新聞 4/20(木) 21:06配信

 政府は米国が離脱した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)について、日本など残る11カ国で早期発効を目指す。従来は米抜きTPPに慎重だったが、米国の復帰は見込めないため方針転換した。多国間の自由貿易の枠組みを優先させることで、2国間の交渉を目指す米国の圧力をかわす狙いもあるとみられる。

 「TPPを11カ国でやろうという話は5月に出る」。麻生太郎副総理兼財務相は19日、米ニューヨークで講演し、ベトナムで5月後半に開くTPP閣僚会合で米国抜きの協議が本格化するとの見通しを示した。

 TPPは昨年2月に12カ国が協定案に署名したが、今年1月に就任したトランプ米大統領はTPPからの離脱を表明し、協定の発効は宙に浮いた状態となっている。日本はこれまでトランプ氏の離脱撤回を待つ姿勢だったが、今月18日の日米経済対話の際にペンス米副大統領は「TPPは過去のもの」と断言。日本との間で2国間の貿易協定を目指す姿勢を鮮明にした。

 日本政府内には、米国と2国間で交渉を始めれば、農産品の市場開放などでTPPの合意内容以上の譲歩を迫られるとの警戒感が強い。今回の経済対話で、現時点では米国がTPPに復帰する可能性が極めて低いことが改めて確認されたため、まずは11カ国でTPPを発効に持ち込んだうえで、米国の再参加を待つ戦略に転換することにした。

 多国間の枠組みを重視する姿勢を明確にする一方で、当面は米国との2国間交渉は回避する方針だ。TPPが発効すれば、日本などで豪州産の牛肉などの関税が下がり、米国産の輸出は不利になるため、TPP復帰を求める声が米国内でも強まるとの思惑もある。

 ただ、米市場への輸出拡大の期待が大きかったベトナムやマレーシアは「米抜きでは意味が無い」と11カ国でのTPPに消極的だ。カナダやメキシコは、米国との北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を優先させる姿勢を示している。TPP発効には11カ国で改めて合意する必要があるが、各国の思惑が一致しない中で「再び交渉をまとめるのは容易ではない」(日本の交渉関係者)との声が出ている。【工藤昭久】

最終更新:4/20(木) 21:06

毎日新聞