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復興補助金の不正受給発覚による破たん相次ぐ

東京商工リサーチ 4/20(木) 13:53配信

 震災復興関連の補助金・助成金の不正受給発覚を引き金に倒産するケースが相次いでいる。
 生鮮食品の販売と飲食店を運営していた(株)鮮味(TSR企業コード:153042249、福島県、破産)は、国のグループ補助金(被災企業向けの補助金)の不正受給が発覚し、今年2月に代表が福島県から告発された。
 都内の旅行代理店、東京さくらツーリスト(株)(TSR企業コード:293057265、東京都)も、震災復興事業として福島県への観光ツアーの一部料金を東京都が助成する「被災地応援ツアー」制度を悪用し、実体のないツアーや参加人数を水増していた。2016年夏に不正受給が明るみに出ると事業継続が難しくなり、2017年3月に破産した。
 相次ぐ不正受給の発覚を受け、福島県は今年以降これまで交付した被災企業向けのグループ補助金が適正に利用されているか、実地調査を含めた再調査を開始した。不正受給が新たに判明した場合、手を染めた企業が払う代償は大きい。
 
 こうしたなか、大型インクジェットプリンターの製造販売を手がけていた(株)ルキオ(TSR企業コード:295863617、東京都)は、2016年11月に工場建設で復興関連補助金の不正受給が発覚。福島県と南相馬市から補助金の返還命令を受け、顧客からの信用を失い、2017年3月に破産した。

補助金を利用して福島県に念願の工場を建設

 ルキオは1993年創業で、屋外広告や看板向け大型インクジェットプリンターを中心に取り扱っていた。広告制作業者などを対象に、超大型インクジェットプリンターの世界最大手メーカーの国内総代理店として、業界では一定の存在感を示していた。だが、業務用大型プリンターは1台3,000万円~5,000万円と高価格帯が中心で、仕入負担も大きかった。また、海外から仕入れて売るだけでは利幅も薄く、為替の影響にも左右された。
 このため同社は家庭用プリンターのようにプリンター本体を安価にし、専用インクなど消耗品の販売や製品の保守・メンテナンスで稼ぐビジネスモデルに転換した。だが、それでも成長には限界があった。過小資本では事業拡大が逆に仕入負担が重くなる悪循環に陥っていたからだ。

 メーカーとしての事業拡大が念願だった同社は、2014年3月福島県相馬市に自社工場(東北工場)を建設した。同工場では自社ブランド『MIMA』の名を冠したオリジナル製品の組立ラインと、新規事業として始めた広告用LED製品の生産ラインを整備した。そして工場の建設資金には震災からの復興関連補助金を充てた。
 福島県から「ふくしま産業復興企業立地補助金」として10億7,950万円。南相馬市からは「企業立地助成金」として5,000万円。約16億円を受給して建設した工場は、同社の未来と復興の道筋を明るく照らしたようにみえた。また、工場の従業員約20名は地元採用が大半を占めた。地域の雇用安定の一翼を担う企業として、復興に取り組む地元から大きな期待をもって迎えられた。

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最終更新:4/20(木) 14:44

東京商工リサーチ