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都市から社会貢献 ― 山林整備や堆肥運搬 高校生260人 農村の課題 真正面に 長野・信州せいしゅん村 受け入れ開始

4/20(木) 7:01配信

日本農業新聞

 長野県上田市の農地所有適格法人(農業生産法人)信州せいしゅん村は19日、農村の課題解決につながる作業を農村体験として提供する新たな取り組みを始め、愛知県の高校生260人を受け入れた。管理が行き届かない山林や農地、河川の整備などを体験してもらい、農村にとっては体験収入や地域活性化、人手確保にもなる。都市と農村の共存共栄を図る取り組みとして「社貢(社会貢献)ワーク」と名付け、企業の社会的責任(CSR)活動としても活用してもらう構想だ。

地域→人手確保や活性化 生徒→役立つ喜びを体験

 第1弾として、愛知県みよし市の三好高校の1年生260人を受け入れた。30人の住民と生徒らが、7地区に分かれ山林や竹やぶ、河川の整備や花木の植樹、堆肥の運搬などをした。

 夏場に子どもたちの遊び場となる河川では、見通しが悪く危険だった立木を40人の生徒が半日かけて取り除いた。

 指導した農家の橋詰勇さん(78)は「年寄りだけでは作業できなかった。鹿の隠れ場所にもなっていたので助かる」と若い力に感謝する。

 急峻な山林で刈った枝を集める作業では、足場の悪さに生徒たちは四苦八苦。川原翔太さん(15)は「お年寄りばかりなのに、危険な作業が多い」と驚き、農村の抱える課題に理解を深めた。

 同校の桑田厚司教頭は「生徒たちには、周囲に喜んでもらうことが自分たちの喜びとなるような、社会貢献の気持ちを養ってほしい。そうした体験ができるのは貴重」と評価する。

 同法人代表の小林一郎さん(66)は「都市と農村の共存共栄を図る取り組み」と強調する。

 同法人は2002年から、地域住民の協力を得ながら教育旅行の学生を受け入れる日帰り農村体験「ほっとステイ」を実施。農村のありのままの生活を商品化し、高齢化や過疎にあえぐ同地域に、国内外から年間6000人を集客してきた。 三好高校は、15年近くほっとステイで受け入れてきた実績がある。

 今回の社貢ワークは「その次のステップ」(小林さん)とし、受け入れを個人宅から地区単位に拡大。来る人に合わせて用意していた体験を、地域が解決したい課題に置き換えた。

 小林さんは「高齢化する農村で住民だけでは解決できない課題は多い。その課題を商品化した」と狙いを話す。

 参加する学校には、農村の抱える課題やその解決方法を考える教育体験の場として提案。意欲はあるが、自らCSR活動を展開できない企業には、パッケージ化したCSR活動として活用を呼び掛ける構想だ。

 こうした体験を提供する上で、ただの作業や労働にならないよう、同法人が事前に農村の現状や課題を必ず講義する。その上で、農村の現場を案内し、住民と交流をしながら作業に従事してもらうよう心掛けている。(染谷臨太郎、山崎笙吾)

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最終更新:4/20(木) 7:01
日本農業新聞