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「ギンザシックス」今日オープン。アパレル圧縮の成否

ニュースイッチ 4/20(木) 7:55配信

大丸松坂屋百貨店社長に聞く「多くのブランドをそろえるモデルを見直す」

 森ビルやJ・フロントリテイリングなどは20日、東京・銀座6丁目に設けた複合商業施設「GINZA SIX(ギンザシックス)」を開く。大丸松坂屋百貨店はテナントとして、百貨店ではなく雑貨のセレクトショップ「シジェームギンザ」など2店舗を出店する。大丸松坂屋の好本(よしもと)達也社長は不振の百貨店事業について「衣料品で多くのブランドをそろえるモデルを見直す」とし、シジェームギンザなどを“新百貨店モデル”の一つと位置付ける。百貨店事業の新たな成長に、どのような変化が必要なのか。好本社長に聞いた。

 ―顧客層や品ぞろえ拡大で収益性向上を図る「新百貨店モデル」を進めています。
 「消費がモノからコトに移っている。独自に編成する『編集型』や、付加価値の高い『体験型』の売り場作りを考えていく」

 ―百貨店の主力商材である婦人服の売れ行きは不調です。
 「多くのブランドをそろえるモデルを見直す。売り方などについて、我々としっかり取り組んでくれる企業との取引に絞り込み、クレジットカードで購入された売り上げデータを共有するなどアライアンスを強める。アパレルの売り場を圧縮し、新たなお客さまを呼び込むための取り組みをしたい」

 ―マーケティングなどを手がける「未来定番研究所」を、社長直下に設けました。
 「外部の人材を入れ、発想力のある社員と組んでもらうことで、先を見通せるようにしたい。例えば、近年ハロウィーンの市場が伸びているが、百貨店は売り上げに結びつけることができていない。(訪日客による)免税売上高についても、(外的要因で)たまたま伸びた面がある」

 「3月に大丸東京店(東京都千代田区)で開いた編集型売り場は、神奈川県葉山町でセレクトショップを運営している高須勇人氏がプロデュースした。利益を出すことができている今のうちに、手を打つ」

「東京、日本の強い“磁力”となる」

 「GINZA SIX(ギンザシックス)」の商業面積は約4万7000平方メートルと、銀座で最大だ。消費は景気の停滞感や、訪日外国人による“爆買い”の収束などを背景に楽観視できない。銀座の持つブランド力を生かし、新たな観光や消費の姿を示すことができるのか。

 「銀座の歴史に残るプロジェクトに参加させて頂いた」。森ビルの辻慎吾社長は17日に開いたギンザシックスの開業式典で、喜びをこう口にした。同式典には安倍晋三首相や小池百合子東京都知事も出席。安倍首相は「銀座は世界中から人が集まる街になった。大いに期待している」と祝辞を述べた。

 銀座では百貨店の三越や松屋に加え、2016年にショッピングセンター(SC)の東急プラザ銀座や銀座プレイス、今年3月にマロニエゲート銀座2、同3(ともに旧プランタン銀座)が開業した。18年夏には銀座ソニーパーク(旧ソニービル)が開業予定で、再開発が急激に進んでいる。

 ギンザシックスはJ・フロントリテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店が13年まで運営していた、松坂屋銀座店の跡地に立地している。百貨店ではなく、森ビルや住友商事など4社が共同出資し、開発や運営にあたる方式にした。

 山本良一J・フロントリテイリング社長は開業式典で「異業種の結合が桁違いの成果を生む」と強調した。ギンザシックスは241のブランドが出店し、その半数以上は企業やブランドの象徴となる「旗艦店」の位置づけだ。“挑戦の場”としての性格も持たせ、新業態の店舗も65ある。

 「銀座のみならず、東京、日本の強い“磁力”となることを目指す」(辻慎吾森ビル社長)。「GINZA SIX(ギンザシックス)」の魅力は、商業施設だけではない。オフィスや観光・交流拠点など多彩な機能を持つ。ギンザシックス全体で、3000人の帰宅困難者の受け入れが可能。街の防災拠点の役割も担う。

 森ビルは再開発のコーディネーターを担当した。松坂屋銀座店跡地を含めて二つの街区を一体開発するという「あえて困難な道を選んだ」(同)ことで、約9000平方メートルの敷地面積を確保。銀座エリア最大の複合施設を誕生させた。六本木や虎ノ門の再開発で磨いた手腕を発揮し、地権者や町会、行政などさまざまな関係者の意見を巧みにまとめた。

 オフィスは7―12階と13階の一部で、1フロアの貸し床面積は都内最大級の約6140平方メートルを誇る。契約ベースで稼働率は約8割に達しており、満室稼働でおよそ3000人が就業する見通し。「飲食など銀座の街に対する波及効果」(森ビル)も期待できる。

 地下3階には能楽の世界を代表する観世流の拠点「観世能楽堂」が入った。今後は訪日外国人観光客に向けた、多言語対応システムを導入する予定だ。屋上には約4000平方メートルの庭園も備える。

 街区の間の区道は付け替え、観光バスの乗降所を整備した。12月には地下鉄銀座駅と直結する通路が完成予定で、銀座の新たな“玄関”として期待されている。

日刊工業新聞第二産業部・江上佑美子、斎藤正人

最終更新:4/20(木) 7:55

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