ここから本文です

“日本色”出すのに腐心する「東芝メモリ」入札企業

ニュースイッチ 4/20(木) 19:02配信

政府の“警戒心”和らげる狙い

 東芝が分社して設立した半導体メモリーの新会社「東芝メモリ」の入札をめぐり、買収を目指す主力陣営が“日本色”を打ち出す動きが活発化してきた。メモリー技術を国内に残したい日本政府の意向に配慮するためだ。また日本連合で東芝メモリに出資する動きもある。ただ仮に日本企業の出資が具体化しても、有力入札企業との間で出資比率に関する調整が難航することも予想される。

 シャープは19日、東芝メモリの入札への関与を検討していることを明らかにした。同社首脳は「IoT(モノのインターネット)時代に半導体メモリーの需要は伸びてくるので、良い投資になる」と前向きな考えを示したが、一番の狙いは親会社の台湾・鴻海精密工業を支援することだ。

 鴻海は東芝メモリの入札に参加したが、日本政府は技術流出や安全保障問題を理由に、中国企業や中国と密接な台湾企業による買収に懸念を示している。そこで鴻海は米アップルやソフトバンクとの連携を模索。さらに日本に根を張るシャープを加え、日系連合の色合いを深め、政府関係者らの警戒心を和らげたい考えだ。

 一方、米半導体大手ブロードコムと米投資ファンド・シルバーレイクの連合をめぐっては、日本の政府系ファンドの産業革新機構や日本政策投資銀行が加わる案が浮上した。ブロードコム連合は、豊富な資金力を背景に東芝メモリの事業価値を2兆―2兆5000億円と見積もり、買収後の設備投資にも意欲的とされる。

 また安全保障問題もハードルにはならず、現時点で最優良候補となっている。革新機構や政投銀は出資に名を連ね、日米連合で入札を有利に進めたい考えとみられる。

 日本政府、産業界の中でメモリー技術を日本に残すべきだとの考えは強い。財界首脳は18日、「東芝メモリをどうするかは国益に関わる。国が支援姿勢を明確にすれば(日本企業が支援するための)方法論はいろいろある」と話した。東芝の主力取引銀行首脳も「政府の意向をくんだ方が良い」と賛同する。実際、4月に入り日本企業が連合を形成し出資を目指す動きも出ている。

 ただ仮に東芝メモリに対する日本企業の出資が具体化しても、それで問題解決とはいかない。東芝メモリの拠点や雇用、開発機能を日本国内に維持するために、重要な経営事項を決める際に拒否権を発動できる3分の1超の出資が必要になる。

 一方、ブロードコムや鴻海の「支配欲は強い」(東芝幹部)。ブロードコムや鴻海などの有力入札企業は日本企業の強い関与は避けたいはずであり、出資比率をめぐる調整は難しくなる。

最終更新:4/20(木) 19:02

ニュースイッチ