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【特集】段ボール回収から見える世相 40歳男性に密着

毎日放送 4/20(木) 15:25配信

段ボールを集めて廃品回収業者に買い取ってもらい、収入を得ている人たちがいます。朝から夜遅くまでリヤカーを引きながら廃棄される段ボールからは、時代の特徴や世相の変化も感じ取れるといいます。この仕事にやりがいを感じると話す、ひとりの男性を追いました。

境遇は様々

高架下にポツンと一台のリヤカー。荷台の段ボールががさごそと動いています。覗いてみると…

「ここは比較的あたたかい。きょうはここですよ」(男性)

中で寝ていたといいます。日中は、リヤカーで段ボールを集めて収入を得、夜はリヤカーの上で寝るそうです。

「シャワーに入るお金がないから、ちょっと汗臭いでしょ?少し前まで生活保護を受けていて、それがなくなって、どうしようもなくなって始めた」(男性)

大阪・日本橋。この街には先ほどの男性のように段ボールを集めて生計を立てている人が大勢います。店の前に出される不要な段ボール。

「ほとんどリヤカーで段ボールを集めている方が『いいですか?』と声かけていただいて、『いいですよ』と言って持っていかれるのが多い」(履物卸問屋店主)

彼らの多くは廃品回収業者からリヤカーを借りて段ボールを集めています。その境遇は様々です。

Q.奥さんですか?
「そう」(男性)
Q.一緒にこうやって働いている?
「うん。いつまで続くかわからへん。もう体もがたきてるから。私の方が先に逝くかもしれん」

70代のこの男性は妻をひとりにしておけず、いつも一緒にリヤカーで回ってるそうです。

「これだけ(缶に入った飲み物)先に飲まさないと」(男性)

妻を思いやる夫。こうした暮らしはもう20年以上になります。

Q.これでどのくらいの収入になる?
「それはもうならんよ。これ持って帰ってもたった300円くらい。精いっぱいがんばって、生きている間だけでもなんとか(妻に)食べさせたい」(男性)

月10万以上稼ぐ男性に密着

そんな中、月に10万円以上稼ぐ男性に出会いました。この道10年の聖一さん(40)です。

「(段ボールを渡しながら)お願いします」(店員)
「すみません助かります」(聖一さん)

聖一さんの元にはなぜか段ボールが集まってきます。どうやって大量の段ボールを集めているのでしょうか。聖一さんの一日に付いて行ってみることにしました。

午前10時。リヤカーを引いて出発です。コンビニや酒屋の前で段ボールを集めていきます。しかし、全ての段ボールを回収するわけではありません。

Q.あちらのドラッグストアの段ボールは?(記者)
「触らんといてくれと店から言われている。業者に任せているみたいで」(聖一さん)

許可なしに勝手に段ボールを持っていくのは、大阪市の条例に違反するのだそうです。

Q.歩くスピードが速いですね
「これくらいじゃないと時間があるので。ある程度早く行かんとあかん」(聖一さん)

速足で歩き、時間を気にするのは約束があるからでした。向かったのは…マンションの建設現場です。

「おはようございます、ありがとうございます」(聖一さん)
「はい、よろしく」(警備員)

Q.さっきの工事現場は?
「ずっともらっているところです。だいたいの通る時間を言って出してもらっている」(聖一さん)
Q.結構大きな得意先じゃないですか?
「結構でかいっす。マンションやから工期も長いですから」

いつも通る道で挨拶するようになり、やがて回収を任されるようになったといいます。その後も足早にほかのマンションの建設現場も回りました。

「ここ来るまでにもマンションの建設現場がだいぶありますからね。だからここ数年、大阪の土地の価格が上がっている。こっちのミナミ地区って。売っぱらってマンションにしている人が多い」(聖一さん)

建設現場だけでなく、今はインターネット通販の急増などで段ボール箱の消費量が増えています。今年も前年を大きく上回る見通しです。

「AmazonとかZOZOTOWNとかの(段ボールを)よく拾う」(聖一さん)

しかし聖一さん、それが収入の増加に必ずしも結びつかないといいます。

「全部が通販関係は軽い。大きくても軽い。運ぶこと自体を軽くしたいんですよね。だから壊れやすいものとか以外はなるべく軽くという感じになっている」(聖一さん)

重さで値段が決まるため、軽くて丈夫な段ボールはかさの割には金額にならないというのです。リヤカーいっぱいに段ボールを積み上げると、回収業者に買い取ってもらいにいきます。この日は午前10時から約5時間で1300円の収入でした。

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最終更新:4/27(木) 15:42

毎日放送