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「やりたいこと」はなくていい――新入社員に贈る10のエール

@IT 4/21(金) 7:10配信

 新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。皆さんにとって社会人生活は、今までと全く異なる環境に「放り込まれる感じ」ですよね。あまりにも環境の変化が大きいので、何をどうしたらいいのか分からないし、やらなきゃいけないことはたくさんあるし……とにかく、大変だと思います。

【やりたいことは、なくてもよーし!】

 また、立場的になかなか本音も言えず、甘え心も許されず、理不尽な思いをすることもあるかもしれません。それだけに、「精神的にキツイなぁ」と思い始めている人もいるのではないでしょうか。

 そこで今回は、がんばっている新入社員の皆さんへエールと、トラブルを未然に防ぎ、人間関係を円滑にするためのちょっとしたアドバイスを贈ります。

●新入社員に贈る10のエール

1 やりたいことはなくてもいい

 先輩から「やりたいことは何?」「将来どうなりたいの?」と聞かれることが多いでしょう。でも、社会経験がない皆さんは、やりたいことを聞かれても「よく分からない」というのが正直なところではないでしょうか。

 私は、「やりたいことはなくても構わない」と思います。

 「やりたいこと」というものは、頭であれこれ「考える」よりも、内面から「出てくる」、あるいは「感じる」ものだと思います。経験を重ねると見えてくることも多いです。だから、今やりたいことがなくても大丈夫。

 逆に、「これって、何か違うよな」という違和感を大切にするといいと思います。違和感は、「本当の理想はこうなんだよな」「本来ならこういうのがやりたいんだよな」という「理想」があるからこそ抱くもの。違和感を抱いたら、「じゃあ、本当は何が理想なんだろう?」「何がしたいんだろう?」と、考えてみるといいでしょう。

 経営コンサルタントの神田昌典氏は、次のように言っています。

やりたいことを見つけたいなら、やりたいことを見つけようとしてはいけませんやりたいことを見つけるなら、やりたくないことを見つけなさい

2 学歴は気にする必要なし

 学生時代は、テストの成績や学歴が能力を図る1つの物差しでした。そのため、学歴にコンプレックスを持っている人もいるでしょう。確かに学歴はあるに越したことはないかもしれません。

 でも、エンジニアの仕事はデザイン力やコードを書く力、論理的思考力や顧客とのコミュニケーション力など、「何ができるか」が重要です。学歴はそんなに気にする必要はありません。実力を付ければ学歴の差はすぐに超えられるので、安心してください。

 問題なのは、「どうせ学歴ないし……」「どうせ自分なんか……」のように、学歴で自分を卑下してしまうこと。思ってしまうのは仕方がありませんが、過去の学歴よりも、今できることを一生懸命やって、置かれた環境の中で輝くことを目指しましょう。

3 分からないことは「分からない」と言おう

 ここからは、ちょっとしたアドバイス。トラブルを未然に防ぎ、人間関係を円滑にするためのヒントです。

 新しい環境では、分からないことがたくさんあると思います。そういうときは、遠慮せずに先輩に聞きましょう。

 問題なのは、分からないのに「分かったフリ」をすること。分からないまま仕事を進めると、トラブルの原因になってしまいます。

 「あの人はすごい!」と憧れの先輩にも、何も分からない新入社員時代がありました。新入社員にとって「分からない」は恥でも何でもありません。

4 かわいがられよう

 筆者がシステムエンジニア時代、A君という後輩がいました。

 A君は理系出身で、技術的なスキルはかなりありました。でも、「俺サマはデキるんだ」オーラがたっぷりで何となく生意気、何となく素直じゃない。正直「かわいがりたい」とは思えない人でした。

 本来なら先輩として気に掛けてあげたいし、いろいろと教えてあげたい。けれども、声を掛けづらいのです。本来、得られる情報が得られないのは、彼にとっても損だったのではないかと思います。

 エンジニアにとってスキルは大切。自信があるのも素晴らしいことです。でも、仕事は「かわいがられてなんぼ」みたいなところも多分にあります。笑顔や謙虚さ、素直さも大切じゃないかと思います。無理にこびを売る必要はありませんけどね。

 私も生意気で素直ではないので、これは自戒も込めて。

5 友人を大切にしよう

 この時期は劇的な環境変化で、「思った感じと違う」と悩んだり、「この調子でやっていけるかな」と不安に思ったりする人も多いでしょう。

 こんなときにありがたいのは友人の存在です。気の知れた仲間と食事でもしながら悩みを話し合えば、気分が紛れるし、「みんな同じなんだ」と分かれば安心します。もうすぐゴールデンウイークです。久しぶりに友人たちと会う計画を立ててみてはいかがですか?

 学生時代の友人に加えて、社内外の友人も早くできるといいですね。

6 インターネットの使い方を注意しよう

 TwitterやLINE、Instagram、Facebookなどのソーシャルメディアを使っている人は多いと思いますが、投稿は今まで以上に慎重にしましょう。

 なぜなら、想像以上に「みんな見ている」からです。

 私自身、一緒に仕事をすることになった人のSNSやブログはよく見ます。普段の発言とインターネット上の発言にギャップがあると、「なるほど、本心はこういう人なんだな」と思いますし、自分の会社を批判的に書いている人を見ると、「大丈夫かなぁ」と心配になります。

 上司や同僚、顧客に対する批判的な発言は人間関係を損ねますし、不用意な発言は炎上する恐れもあります(経験者から言わせてもらえば、炎上すると精神的に結構キツイですよ(笑))。さらに、社内情報の不用意な投稿は、情報漏えいのリスクもありますし、会社に迷惑を掛ける恐れもあります。

 無理に「いい人」を演じる必要はありませんが、自身のためにも、ネットでの表現や内容には十分気を付けましょう。

7 理不尽なことは、取りあえず経験してみよう

 新入社員時代は、「来客へのお茶出し」「電話当番」「コピー」「掃除」「宴会幹事や一発芸」など、「何でこんなことしなくちゃいけないんだよ」「こんなことをするために会社に入ったんじゃないぞ」「理不尽だなぁ」と思うことをやらされることがあると思います。

 また、顧客からの「大至急、対応をお願いします」「今日中にどうしても何とかしてほしい」など、理不尽だとは思いつつも、対応しなければならないシーンもあります。相手が顧客だと、自分の意思ではなかなかコントロールできないものです。

 私も理不尽なのは大嫌い。「昔からこう決まってるんだ!」「何も分からないくせに生意気言うな!」と理由もなしに強要されたり、頭ごなしに言われたりするのが苦手な性分です。でも、仕事には人との関わりが必ずあるので、「思い通りにならないこと」も多々あります。

 そこで、こう考えてみませんか。近い将来、仕事を任されたり、やりたいことができたりしたときに、「理不尽さへの対応力」があると便利だ、と。

 「理不尽だなぁ」と感じることがあったら、取りあえず経験してみるのも手なのかなと思います。その場合は、「耐える」よりも「将来役立つ」ことを目的にするといいでしょう。

8 ヤバそうなときは逃げよう

 2016年、社会人になって間もないビジネスパーソンが自ら命を絶ったことが大きなニュースになりました。それをきっかけに政府主導で「働き方改革」が叫ばれ、残業時間の上限が示されようとしています。

 残業時間を法律で制限することも大切だと思います。しかし、「しんどさ」は労働時間だけでは測れません。精神的な面も多分にあります。

 もし「あっ、このままだとヤバそうだな」と感じることがあったら、まわりの友人や知人、親、専門機関などに助けを求めてください。最も大切なのは、あなたです。逃げる選択肢があることも覚えておいてください。

 連載第22回「死にたい」と思うほど仕事でストレスを抱えたときに――最も大切なのは、あなた」も参考にしてください。

9 変化を楽しもう

 リンクモンスターが2017年3月に発表した、「第3回『就職したい企業・業種ランキング』」調査によると、「就職したい企業・業種ランキング」のランキング1位は「地方公務員」で、2位は「国家公務員」なのだそうです。1位の「地方公務員」を選択した理由は、「安定している」といった回答が多かったそうです。

 多くの人が「安定した生活がしたい」と思うでしょう。安定を求めること自体は、悪いことではありません。

 でも、過去には財政破綻した行政もありますし、今も大手企業が巨額な負債を抱えて話題になっています。大手といえども、未来がどうなるかは誰にも分かりません。少子高齢化や人口減少が進む日本では、経済は縮小する傾向にありますし、突然何らかの災害に見舞われることもあるかもしれません。

 それでももし「安心」を保証できるものがあるとしたら、それは「変化への対応力」だと思います。サーフィンは荒波の方が楽しいように、現状にとどまることなく、変化を楽しんでほしいです。

 以前連載していた「人生はサーフィンのように」は、そのコンセプトで書いています。よかったら、読んでみてください。

10 楽しくいい気分で働こう

 新入社員のみなさんに最後にお伝えしたいのは、「楽しくいい気分で働こう」です。

 私が主宰するNPO法人「しごとのみらい」は、「楽しく働く人を増やす」をテーマにしています。しかし、このテーマをストレートに伝えると、「仕事は大変なものだ」「そんなに甘いもんじゃない」などの批判的な言葉を浴びることがあります。

 確かに、仕事には大変なことや苦しいこともないわけではありません。けれども、「どうありたいか」を考えたら、誰もが楽しく、いい気分で働きたいと思っているはずです。

 「思いは実現する」かは分かりません。でも、そう思わなければ実現はしないでしょう。それならば、「仕事はどうせつまんない」ではなく、「楽しくいい気分で働きたい」に意識を置いておきたいじゃないですか。

●仕事が楽しければ人生も楽しい

 新入社員の皆さんに贈るエールやアドバイスをまとめました。

 新入社員へのアドバイスといえば、「やりたいことを見つけよう」「スキルを磨こう」「努力しよう」「つらいことも辛抱しよう」といったものが多い気がします。これらも大切だとは思いますが、何より大切なのは「楽しく、いい気分で働くこと」です。

 仕事で過ごす時間は、1日の大半を占めています。ということは、仕事が楽しければ人生も楽しいはずです。楽しめる仕事だったら、無理に「努力しよう」なんて思わなくても、自然と前向きになり、行動的になれるのではないでしょうか。

 「仕事? いろいろあるけど、結構楽しいよ」と言える。そんなエンジニアが増えたらいいな。

●今回のワーク

 静かな場所に行って、コーヒーでも飲みながら、紙とペンを取り出して考えてみてください。

1 10のリストを振り返り、今「Yes」といえるものが何個あるか数えてみましょう

2 「No」の中から、次に「Yes」に変えようと思うものを1つ選んで、何から始めるか、具体的な行動に落とし込んでみましょう

●筆者プロフィール

しごとのみらい理事長 竹内義晴

「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。著書「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。

最終更新:4/21(金) 7:10

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