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<原発事故>除染土利用 評価割れる地元

河北新報 4/21(金) 11:07配信

 東京電力福島第1原発事故に伴う除染で生じた土の再利用計画を巡り、福島県内の自治体で温度差が目立っている。住民の強い反発を招くとして地元での活用に懸念を示す一方、「地域再生につながる可能性がある」と利用に積極姿勢を見せる被災自治体もある。(南相馬支局・斎藤秀之)

【図解】除染土再利用のイメージ

 環境省は昨年6月、放射性セシウム濃度が1キログラム当たり5000~8000ベクレル以下の除染土を、全国の公共工事に再利用する方針を決めた。現在、選別技術の確立、作業者への影響把握に向けた実証実験を進める。

 除染土の多くは各地の仮置き場などに保管されている。再利用が進めば早期撤去の道が開けるとはいえ、県外で受け入れられる保証はない。県内自治体がもろ手で賛同できない理由がここにある。

<あくまで県外>

 浜通りの自治体担当者は「除染土を遠距離輸送するのは非現実的。結局は地元での利活用を強いられかねないが、住民は納得しない」と警戒心を隠さない。

 除染廃棄物は大熊、双葉両町に建設中の中間貯蔵施設で最長30年保管後、県外での最終処分が法で定められている。同省は「再利用する土壌は最終処分の対象外」と説明するが、地元との認識の開きは大きい。

 県中間貯蔵施設等対策室は「再利用はあくまで県外での方策の一つと認識している」と指摘。「最終処分の基本線はきっちり守ってほしい」とくぎを刺す。

<勉強会を後援>

 再利用に活路を求める自治体もある。南相馬市は地元を説得し同省の実証実験の場を提供、3月には学生向けの勉強会を後援した。

 背景には廃棄物保管の長期化に対する危機感がある。市内の発生量は土砂、可燃物を合わせて約200万立方メートル。市は中間貯蔵施設への搬入終了は最短で2023年、最長ではさらに9年を要すると見込む。

 中間貯蔵施設は用地交渉が進むものの、契約面積は計画全体の2割台にとどまる。施設整備がずれ込めば廃棄物の搬出はさらに遅れかねず、仮置き場の地権者から用地返還を求められるリスクも増す。

 桜井勝延市長は「仮置き場の存在が、農地整備や住民帰還の阻害要因となっている」と強調。地元での除染土活用に理解を示す。

 県内外を問わず、除染廃棄物の搬入には強い抵抗が予想される。半永久的に据え置かれる土木資材としての活用ならなおさらだ。同省は「住民説明会などの活動を一つ一つやっていきたい」と理解を求めている。

最終更新:4/21(金) 11:36

河北新報