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竹原ピストル、俳優としての評価も高い不屈のオッサンシンガー「誰の心にもなじめるような1曲を生み出したい」

夕刊フジ 4/21(金) 16:56配信

 がっしりした体格でこわもてな印象だが、笑うと何とも人なつっこい表情になる。子供の頃、厳しくも何かと世話を焼いてくれた“友達のお父さん”のような雰囲気。ギターを担いで年間250本以上ものライブに挑んだこともある不屈のオッサンシンガーだ。「よー、そこの若いの」というCM曲の声の主といえば、お分かりだろうか。

 俳優としての評価も高い。昨年10月公開の映画「永い言い訳」(西川美和監督)では、バス事故で妻を亡くし、子供2人の育児に悪戦苦闘するトラック運転手を演じた。直木賞候補にも挙がった西川監督の自著をもとにした作品で、主演は俳優、本木雅弘。

 「自分自身が納得するためだけにステージに上がっているような人間が、監督のイメージ通りの動きができるか否かに人生を掛けるというのは、普段とまったく真逆なので新鮮です。ただ、撮影に入る前は弱音をバンバン吐いてましたけどね。西川監督も困っていたかも…」

 その武骨さはうまく役柄に投影された。映画はロングランヒットとなり、自身は日本アカデミー賞の優秀助演男優賞とキネマ旬報ベスト・テン助演男優賞に輝いた。

 「完全に西川監督のおかげです。賞をいただけたからといって、調子こけるようなもんじゃねえんだ、というのが自分なりの実感ですね。ベストを尽くしたつもりですけど、もう少しアドリブが利けばよかった。まだまだ芝居で自分ができることの幅は狭いので、広げる努力はしていきたいです」

 主演の本木とは、作品を通じて交流を深めた。取材当日、着ていたTシャツには「MOTOKI MASAHIRO」(本木雅弘)の文字が。「どんだけ好きなんだ! ていう話なんですけどね」と照れ笑いする。

 「本木さんは親身になってくれて、『この現場にいても大丈夫なのかな?』と思えるくらいの安心感を抱かせてくれました。これは相当でかかった。どうにか役に立てるように頑張るぞ、という気持ちでしたね」

 自身も5歳の息子を持つ父親。子供の話になると「いっちょ前になってきて、かわいいですよね」と、映画と同じく成長を心から願う父親の姿がそこにあった。

 音楽への目覚めは中学時代。少年の心を躍らせたのは、友達の家で流れていた長渕剛やザ・ブルーハーツ、尾崎豊の楽曲だった。

 「キッチリと自分のことを歌っている人たちの曲が好きで、歌詞を覚えるくらい友達の家で聴きまくってました。そこから『自分も作ってみたい!』と憧れが出てきたんです。とくに尾崎豊さんは、自分も音楽の世界に入ってから、その偉大さが分かるようになりましたね」

 2003年にフォークロックバンド「野狐禅(やこぜん)」でメジャーデビュー。09年に解散してからは弾き語りスタイルのソロ歌手として活動しており、今月に最新アルバム「PEACE OUT」をリリースしたばかり。5月7日からは全国弾き語りツアーがスタートする。

 「CDをリリースして得られる印税とかも立派な収入ですが、ライブで稼ぐほうがピンとくるような気がします。アホみたいなスケジュールでライブをやって、店のマスターやママさんにお小遣いをもらっていた時期が長かったからかもしれません。音楽でメシを食えるように育ててくれたお店への愛着と恩返ししたいという気持ちは強いです」

 ただ、「次の段階にも行かないとなあ、と考えたりもしますよ」と、悩みも吐露する。

 「美空ひばりさんの『川の流れのように』や坂本九さんの『上を向いて歩こう』のように、誰もが知ってる曲をつくりたいと思うようになってきました。もう自分なりの葛藤とか『こういう風に生きていきたい』とか、お前の主張は分かったよと。それよりも、誰の心にもなじめるような1曲を生み出してみたいです」

 そのために、これからも走り続ける覚悟だ。 (ペン・磯西賢 カメラ・宮崎瑞穂)

 ■たけはら・ぴすとる 歌手、俳優。1976年12月27日生まれ、40歳。千葉県出身。フォークロックバンドを経て、2009年からソロとしての活動をスタート。代表曲に保険のCMソングに起用された「よー、そこの若いの」、テレビ東京系1月期ドラマ「バイプレイヤーズ」のエンディング曲「Forever Young」など。

 俳優としては06年の映画「青春☆金属バット」(熊切和嘉監督)で初主演を務め、11年の「さや侍」(松本人志監督)などに出演。「永い言い訳」のブルーレイ&DVDは21日発売開始。ツアーの詳細は公式サイト(http://www.office-augusta.com/pistol/)。

最終更新:4/21(金) 16:56

夕刊フジ