ここから本文です

苦悩の選手会はついに事情聴取へ “WBC後遺症”続出の波紋

日刊ゲンダイDIGITAL 4/21(金) 9:26配信

「抑え方が分からない」

 ロッテの石川は、こう言い残して二軍落ちした。18日に先発するも、5回6失点でKO。今季は3戦3敗、防御率7.62。昨季の最優秀防御率投手(2.16)が、今や見る影もない。

 石川に限らず、WBC日本代表選手の多くが故障に泣かされ、不振にあえいでいる。ソフトバンクは武田が右肩炎症、日本ハムは中田が右内転筋筋挫傷で、共に登録抹消中。ヤクルトの山田は打率.224、DeNAの筒香は.241、ソフトバンクの松田は.213と低迷中だ。

 彼らはWBCで世界を相手に激戦を繰り広げた。ボールの違いはもちろん、疲労や前倒しになった調整など、「WBCの悪影響」とみる関係者は球界に多い。

 こうした故障者、不振者続出に、かねて警鐘を鳴らしていたのが日本プロ野球選手会だ。

 昨年、選手会はWBCの影響を踏まえて、開幕を例年より遅い4月7日にするよう、NPBに要望を出した。が、返答は「NO」。予定通り、3月31日に開幕を迎えた。

 選手会の森忠仁事務局長は「過去の大会に出場した選手から、『調整期間が欲しい』という声があったからです」と、こう続ける。

「昨年6月のNPBとの事務折衝では、WBC出場経験のある(ソフトバンクの)内川選手、(ロッテの)角中選手も出席し、彼らの意見を直接12球団の代表者に聞いてもらいました。しかし、各球団は(集客が期待できる)春休み中に開幕させたいという思惑がある。さらに『WBCに出場していない選手の調整に影響が出るから』という反対意見もあって、要望は通りませんでした」

 しかし、多くの代表選手が苦しんでいるのも事実。選手会は原因究明のため、“事情聴取”を開始するという。森事務局長が言う。

「まだ代表選手をリサーチしていないので、WBCと成績の関連性については、何も言えません。ただ、今後は12球団を回って、代表選手自身に現在の状態や、WBCの影響などを聞いて回る予定です。WBCから帰国後、故障した選手がいる場合は球団に『今回のケガを、どう考えているのか』と聞きたいですね」

■開幕延期を突っぱねた12球団

 不振やケガの原因がWBCにあるとすれば開幕延期を突っぱねた12球団も無視できなくなるだろう。森事務局長が言う。

「昨年の事務折衝では、12球団側から『出場選手のみ、開幕後に1週間程度、個人で調整期間を取ってもらったらどうか。その期間も登録日数として計算すればいい』という意見も出た。しかし、それはどうでしょうか。代表選手は帰国後の調整期間が必要というだけで、プレーできないわけじゃない。にもかかわらず、自分だけ出場しないことに我慢できるのか。ファンは納得するのか。チームが主力を欠くという中途半端な状態で、それを興行として見せるのか。そうした話を去年の事務折衝でさせてもらったんですが、聞いてもらえませんでした」

 代表選手の偏りもある。助っ人も含めれば、ソフトバンクは7人もWBCに派遣。阪神とオリックスは1人しか出していない。

「それでも開幕延期をしないのならば、選手を派遣したチームほど不利になりかねない。『12球団から平等に選出するのか』ともなりかねません。そうしたことを避けるには、全チームが開幕にベストの状態を迎えられる期間を設けてもらうのが一番。そう思ったんですが……。とりあえず、今後は代表選手をリサーチして、夏の総会までに話をまとめられれば、と思っています」(森事務局長)

 代表選手はWBCでいくら活躍したところで、年俸に反映されるのはシーズンの成績のみ。現在のように12球団が彼らの意見に耳を貸さないのであれば、「シーズンに悪影響が出かねない」とWBCを辞退する選手が続出しかねない。20年東京五輪に出場する選手も同様に、ケアを考える必要がある。12球団は再考の時期に来ているのではないか。

最終更新:4/21(金) 9:26

日刊ゲンダイDIGITAL