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李香蘭、東本願寺で歌う 戦中の映像発見

京都新聞 4/21(金) 12:10配信

 戦前、戦中に日本人であることを伏せ、親日的な中国人女優「李香蘭」として活躍した故山口淑子さんが、東本願寺(真宗大谷派本山、京都市下京区)の境内で歌っている映像がこのほど見つかった。約6分間、「荒城の月」と「何日君再来」を歌っている。専門家は「これまで知られていない映像だ」と話す。
 映像は、大谷派の故大谷光暢前門首(法主)のコレクションの中から見つかった。撮影時期は不明だが、冒頭に「満映スター」「コロムビア専属歌手」と記されており、レコード会社「コロムビア」(現日本コロムビア)に移籍した1940年7月から、映画会社「満州映画協会」退社の44年秋までの間に撮影された可能性が高い。近年、35ミリフィルムからデジタル化された。
 「真美会音楽映画シリーズ」と題されており、大谷氏が中心となって開催していた映画鑑賞サークル「真美会」で上映するため撮られたものという。大谷氏の四男、光道氏(72)は「映像に出てくる建物は、当時父たちが暮らしていた東本願寺内事で間違いない。父は青年期に映画の脚本を書いた経験があり、交流があったのでは」と推察。おもちゃ映画ミュージアム(中京区)の太田米男代表は「映像はきれいで、状態もいい。40年代、フィルムは貴重な物資として統制され入手困難だった。当時の作品として歴史的に貴重なものだ」と評価する。
 山口さんの妹、山崎誠子さん(84)=東京都大田区=は「映像は姉で間違いない。声や顔、サインの書き方から、20歳ぐらいの1940年ごろではないか。頻繁に日本に行っていたので、京都に立ち寄った可能性がある」とする。山口さんと「李香蘭 私の半生」を共著した作家で日銀元副総裁藤原作弥さん(80)は「荒城の月」と「何日君再来」は、山口さんがよく歌った代表曲と指摘し、「公演や慰問に多く出掛けたが、東本願寺は聞いたことがない。プライベートフィルムとも言えるもので珍しい」と話している。
<李香蘭(1920~2014年)>満州国(中国東北部)に設立された映画会社「満州映画協会」の専属女優として1938年銀幕デビューした。俳優長谷川一夫と共演した映画「熱砂の誓ひ」やレコード「蘇州夜曲」などがヒットした。戦後は日本名山口淑子に戻って映画やテレビ出演し、参議院議員も務めた。

最終更新:4/21(金) 12:33

京都新聞