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「遺産」「財産」…もらえるのは誰? 【沖縄の相続】暮らしに役立つ弁護士トーク(2)

4/21(金) 14:45配信

琉球新報

 “沖縄の相続問題”のエキスパート・尾辻克敏弁護士の事務所に、最近お父様を亡くされたという天久一郎さんが相談に訪れました。お父様が残された財産について悩みがあるようです。

(前回までの話はこちら )

天久さんの場合は? 家系図を作って整理しよう!


天久さん


 尾辻先生、私の父が先日亡くなり、父の四十九日が終わりました。

 そこで、そろそろ父の財産をどう分けるか進めたいのですが、どう進めていけばいいんでしょう?


 



尾辻弁護士


 天久さん、大変でしたね。生前、お父様にはお世話になりました。

 誰がお父様の相続人になれるのか確認しなければならないので、お父様の家族関係を教えてください。まず、お父様に奥様はいますか?

 




天久さん


 父は、およそ10年前に母(健在)と離婚しましたが、最近は、優子さんという女性と生活していました。

 父は優子さんと結婚はしていません。

 




尾辻弁護士


  天久さんに兄弟はいますか?

 




天久さん


 次郎という弟がいましたが、2年前に病気で亡くなりました。

 次郎には、妻と一人息子のたけしがいます。

 




尾辻弁護士


 下の図のとおり、お父様の家系図を簡単にまとめてみました。

 誰が相続人になれるのか検討するときには、まずは亡くなった方の家系図を書いてみることをお薦めしていますよ!

 




天久さん


 私のケースでは、いったい誰が父の財産を相続できるんでしょうか?

 


離婚した妻、亡くなった夫の財産は受け取れる?


尾辻弁護士


「相続人」とは、被相続人(亡くなった人、今回のケースでは天久さんの父)から相続財産を受け継ぐ人のことをいいます。

「遺言書」が作成されていない場合、法律で定められた家族・親族が「相続人」になります。

 まず、配偶者がいる場合には、配偶者は「相続人」になります。

 




天久さん


 では、離婚した母は、親父の「相続人」になれますか?

 




尾辻弁護士



 離婚した元配偶者は、離婚すれば夫婦関係がなくなるので、「相続人」になれません。

 天久さんのお母様も離婚されているので、「相続人」ではありません。



天久さん


 母は父の財産を相続できないんですね。では、優子さんが「相続人」になるんでしょうか?

 




尾辻弁護士


 優子さんは、被相続人であるお父様と結婚していないので、「相続人」になれません。生計を共にしても、どんなに連れ添った期間が長くても、結婚していなければ「相続人」にはなれないんです。

 もし、結婚していないパートナーに財産を残したい場合は、「遺言書」を作成していれば相続財産を譲ることができます。

 今回の場合、お父様が「優子さんに財産を譲る」との遺言書を作成していれば、優子さんに相続財産を譲ることができたわけです。

 




天久さん


 長男の僕は「相続人」になれますよね?

 




尾辻弁護士


 もちろん、長男の天久さんは、お父様のお子さんなので「相続人」になれます。

 配偶者の他に「相続人」になれるのは、簡単に説明しますと、まず、子どもがいる場合には、子どもが「相続人」になります。子どもがいない場合には、次に親が「相続人」になります。子どもも、親もいない場合には、兄弟姉妹が「相続人」になります。

 簡単に説明すると、配偶者の他には、子ども→親→兄弟姉妹の順番で、「相続人」になります。

 


孫が相続できるのは、どんな場合!?


天久さん


 甥のたけしが、自分が「相続人」になれると言っているのですが、本当ですか?

 




尾辻弁護士


 たけし君は、相続について、よく勉強されていますね。

 まず、被相続人の子どもが健在の場合には、孫は、通常「相続人」になれません。仮に次郎さんが健在の場合には、たけし君は、通常「相続人」になれません。仮に次郎さんが健在の場合に、お父様がたけし君に財産を譲りたいのであれば、お父様がたけし君に財産をあげるとの遺言書を作成することや、お父様がたけし君と養子縁組をして、たけし君を養子にすることで財産を譲ることができます。

 一般的には、親が子どもより先に亡くなりますが、時には次郎さんのように、病気や事故などで子どもが親よりも先に亡くなる場合があります。子どもが親よりも先に亡くなっている場合、孫が「相続人」になれます。これを「代襲相続」といいます。

 天久さんの家族の場合、子どもである次郎さんがお父様よりも先に亡くなっているので、「代襲相続」により、孫のたけし君が「相続人」になります。なお、次郎さんの奥様にはお父様の財産の相続権はありません。


お世話になった長男のお嫁さんに財産を譲りたい!


天久さん


 仮に、私の妻が父の介護をしてきた場合は、どうですか?

 




尾辻弁護士


 県内では、長男の家族が長男の親と同居して、長男の妻が長男の親の介護をしているケースは結構多いですね。しかし、お嫁さんはいくら介は護をしても「相続人」にはなれないんですよ。

 ただ、「面倒を看てもらったお嫁さんに財産を残してあげたい」という相談を受けるケースも多いです。その場合、「お嫁さんに財産を譲る」という「遺言書」の作成をお勧めします!

 相続では、実は腹違いの兄弟がいた!など、思わぬ人が「相続人」として出てくるケースがあります。また、県内のケースでは、数世代前の遺産分割が終わっていないため、いざ分割をしようとすると、相続人が数十人になったり、米国やブラジルなど海外に相続人がいるケースもあります。そのため、「被相続人」が生まれてから、死亡するまでの連続した戸籍謄本を取り、調べて、相続人を確定していかなければなりません。この作業は結構大変ですので、お悩みの方は当事務所までご相談ください。


(次回からは毎月第3水曜日に公開します)


― 執筆者プロフィール ―

弁護士 尾辻克敏(おつじ・かつとし)

中央大学法学部、中央大学大学院法務研究科卒業。司法試験合格後、県内にて1年間の司法修習を経て、弁護士業務を開始。常に相談者の話を丁寧にお聞きし、きめ細やかな法的サービスを的確かつ迅速に提供し、全ての案件に誠心誠意取り組んでいる。

相続問題・交通事故、企業法務等を中心に取り扱う。相続問題では、沖縄の風習や慣習、親族関係にも考慮した適切な解決を心がける。


~法律問題でお困りの際は、お一人で悩まず、私と共によりよい解決を目指しましょう!~

島袋法律事務所 弁護士 尾辻克敏
那覇市樋川1-16-11 リーガルプラザ2階
(那覇の裁判所・法務局近く)
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お問い合わせ TEL098-834-9045

 





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琉球新報社

最終更新:4/24(月) 10:43
琉球新報