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衆院区割り改定案 「復興の妨げ」「地方軽視」 宮城・福島で反発の声

産経新聞 4/21(金) 7:55配信

 衆院選挙区画定審議会が19日に勧告した区割り改定案では、定数が1減となる青森、岩手両県だけでなく、宮城、福島両県も区割りの線引きが見直される。見直し対象には東日本大震災の被災地や、行政区分を分割されるケースもあり、各地から「復興の妨げになる」「地方軽視だ」と反発の声が上がっている。

 「復興道半ばで、数合わせの見直しとなったのは誠に遺憾だ」。改定案を受け、南三陸町の佐藤仁町長はこうコメントした。

 震災で壊滅的な被害を受けた同町は、結びつきが強い気仙沼市を含む県北部の宮城6区から、前回衆院選で全国最少の有権者数だった石巻市などを中心とする5区に編入される。

 同町で語り部活動を続ける佐藤善司さん(66)は「震災から6年たったが、復興は道半ば。選挙区を変えるのはもってのほかだ」と憤りを隠さない。

 「復興には国から直接の支援もある。地元の代議士が変わったら、誰が被災地を見てくれるのか…」

 衆院選の候補者の顔ぶれも変わることになり、「住民も誰に投票すればいいかわからず、投票率もますます下がる。住民のためを思うなら、まずは被災地に残された課題を解消してほしい」と訴えた。

 宮城1区から3区に移る仙台市太白区の秋保(あきう)地区でも不安の声が上がっている。昨年5月に開かれた先進7カ国(G7)財務相会合の開催地近くの自営業男性(67)は「驚いた。観光地としてにぎわってほしいが、地元の声が国政に届くか心配」と話した。

 太白区は2つの選挙区に分裂することになる。市選管は「自治体が分割する例がこれ以上増えないよう国に意見を出していたので残念だ」としている。

 福島県内の選挙区は現在、3区が県南地区、4区が会津地区で構成されているが、改正案では3区の西郷村が地区をまたいで4区に編入される。同村商工会の大高紀元会長(70)は「西郷村は文化的にも経済的にも県南地区としてやってきた。単なる数合わせで会津に組み込むことは、地方を軽視している」と批判する。

 同村は震災以降も人口増加が続き、2万人を突破。大高会長は「人口増加が裏目に出た。(区割り変更は)メリットよりデメリットが大きい」と懸念する。

 また、内堀雅雄知事は「今後、西郷村の考えを聞くとともに、村をはじめとする県内自治体の振興に支障が生じないよう、国に地方の実情や声をしっかりと伝える」とコメントした。

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 ■岩手内陸では編入歓迎 行政区と選挙区が同一に

 〈岩手〉区割り改定案をめぐり、東日本大震災の沿岸被災地から復興への影響を懸念する声が相次ぐ一方、内陸に位置する一関市や盛岡市旧玉山区からは、経済圏や行政区分が同じ選挙区に編入されることを歓迎する声が聞かれた。

 県最南端の一関市は分割される現行の岩手3区から花巻市や北上市などを含む新3区に編入される。各市は県内を南北に縦断する大動脈の東北道や国道4号で結ばれ、自動車産業をはじめとする産業の集積地としても知られている。

 勝部修市長は「内陸部の諸課題を共有しながら、今まで以上に国に対して要請していくことができると思うので評価できる」と改定案を歓迎した。

 盛岡市の旧玉山区は平成18年1月に盛岡市と合併したかつての玉山村。現行の岩手1区の盛岡市から切り離され、2区となっていたため、合併後の連携に苦慮してきた。

 同区を地盤とする竹田浩久市議(62)は「10年前の衆院1区補選の際に、『なぜ自分たちは投票できないのか』と思う人がいた」と振り返る。

 農業を営む竹田孝男さん(81)も「選挙区が分かれていることに抵抗があった。これで、盛岡市の人たちと一緒だ」と話す。

 市選管も「行政区と選挙区が1つの方が有権者にとって分かりやすい。分区が解消になりそうで、良かった」(久保隆司事務局長補佐)としている。

最終更新:4/21(金) 7:55

産経新聞