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<イラン大統領選>対外融和政策、継続の是非が焦点

毎日新聞 4/21(金) 21:47配信

 5月19日の投票まで1カ月を切ったイラン大統領選。現状では保守穏健派の現職ハッサン・ロウハニ大統領(68)が優勢とみられるが、トランプ米政権が対イラン圧力を強めており、反米意識の強い保守強硬派が支持を集める可能性もある。【カイロ篠田航一】

 ロウハニ師は2015年に核開発を大幅に制限する核合意を欧米などと締結して経済制裁解除を実現するなど対外融和路線に踏み出した。この路線の是非が選挙戦の焦点だ。

 IMF(国際通貨基金)によると、17年の国内総生産(GDP)は4%以上伸びると予想され、近年では順調だ。ロウハニ師は「経済成長、インフレ抑制、為替安定を実現した」と実績を強調する。だが15~16年の失業率は約11%で制裁解除前と大きく変わらない。

 国民は「市民を弾圧せず社会を安定させた」と評価する一方、「生活は苦しい」との不満も聞かれる。穏健派の後ろ盾ラフサンジャニ元大統領が1月に死去し票固めに影響が出るとの観測も出ている。

 有力対立候補は最高指導者ハメネイ師の「懐刀」で保守強硬派のエブラヒム・ライシ前検事総長(56)だ。反体制派対応の要職を歴任し、高位のイスラム聖職者でもある。

 政治経験が浅く明確な外交政策は打ち出していないが「イランの問題を解決するのは米国や西側諸国でない」「わが国はより経済発展できる。汚職をなくし強い政府を作る」と訴え、現政権の政策は不十分と主張する。経済成長の「恩恵を受けていない」と考える国民の支持集めがライシ師の目標でもある。

 イラン政治に詳しいアズハル大学のモハメド・ヌール研究員は「ロウハニ政権の経済改革は道半ばだが、改革派や若年層の大半は現状維持を望み、ロウハニ再選を望んでいる。ただ強硬派は最終的にライシ氏で一本化し、必ず巻き返しはある」と分析する。

 どの候補も過半数の得票に達しない場合、上位2人による決選投票が実施される予定。

 米国の出方も選挙戦を左右する。トランプ大統領は今月6日、イランが支援するシリアのアサド政権が自国民に化学兵器を使ったと断定して政権の基地にミサイル攻撃を実施。20日にはイラン核合意を「ひどい合意だ」と改めて非難した。イランによるテロ支援継続などを理由に、合意見直しを検討する考えも示している。

 行動の予測が困難なトランプ政権と向き合う中、ハメネイ師は「政治経験の浅い者が政権を担うことには不安を覚えている」(中東の衛星テレビ局アルジャジーラ)との見方があり、本音では「ロウハニ続投」を黙認しているともいわれる。

 中東地域でも、シーア派国家イランは、スンニ派の大国サウジアラビアと昨年1月に断交し、シリアやイエメンの内戦を巡って敵対する。トランプ大統領はサウジへの軍事支援強化の姿勢も見せる。こうした状況下にイランで強硬派政権が誕生すれば、米・サウジとの対立が深まり、中東の不安定化がさらに拡大する懸念もくすぶっている。

最終更新:4/21(金) 23:44

毎日新聞