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70%超の企業が人材を確保するための取り組みを実施

帝国データバンク 4/21(金) 13:04配信

3月1日に、2018年卒業予定者の新卒採用活動が解禁され、大手企業を中心に各社のエントリー受付や採用活動のための企業説明会開催がスタートした。

1980年代後半のバブル期、2000年代半ばの好況期に続く「超・売り手市場」とされる現在の就職/採用活動は、短期的な求人状況の好転だけでなく、少子化に伴う中長期での若年層減少が現実のものとなりつつあるなかで、一部では「採用氷河期」が到来しているとも言われている。特に、中小企業を中心に採用困難な業界や職種、地方では、すでにこの波が直撃しているともされ、人材獲得を経営課題ととらえる企業は急増している。

そこで、帝国データバンクは、人材採用に関する新たな取り組みの状況、企業が求める人材像に関する調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2017年2月調査とともに行った。

※調査期間は2017年2月15日~28日、調査対象は全国2万3,804社、有効回答企業数は1万82社(回答率42.4%)

調査結果

1.人材採用のための新たな取り組みを行っている企業は、全体の72.2%(10,082社中7,281社)と高水準。このうち、最も多くの企業が行っている取り組みは「賃金体系の見直し」(46.6%)となり、規模別では、規模が小さいほど高い割合となった。

2.企業が求める人材像のトップは「意欲的である」(49.0%)となり、約半数の企業から支持された。第2位は「コミュニケーション能力が高い」(38.6%)、第3位は「素直である」(32.2%)が続いた。人物像類型(「能動型人材」「協働型人材」「変革型人材」「地力型人材」の4つ)別で見ると、第2位の「コミュニケーション能力が高い」、第3位「素直である」を含む「協働型人材」に類型される人物像を選択する企業が多かった。

求める人材像は「意欲的」で「コミュニケーション力」があり「素直」

2017年1月31日に厚生労働省が発表した2016年平均の有効求人倍率は1.36倍と前年比0.16ポイント上昇、かつ上昇は7年連続で1991年以来25年ぶりの高水準だった。一方、同日総務省が発表した2016年平均の完全失業率は3.1%と前年比0.3ポイント低下、かつ低下は6年連続で1994年以来22年ぶりの低水準という好対照な結果を見せ、人手不足による労働需給の逼迫感はこうした数値からも裏付けられる格好となった。

こうしたなか、人材採用のための新たな取り組みを行っている企業は72.2%となり、規模別では大企業(82.3%)が小規模企業(59.7%)を22.6ポイント上回った。業界別では、70%を超えた業界が6業界あり、最も高い運輸・倉庫業の81.0%は、最も低い(その他を除く)不動産業の55.5%を25.5ポイント上回った。規模・業界によって若干の温度差はあるが、総じて各企業が現状に危機感を抱き、新たな取り組みを行う必要があると感じていることがわかる。

企業が取り組んでいる内容の中で、最も選択率が高かったのは「賃金体系の見直し」で、第2位の「就業制度の充実」のおよそ2倍に達した。産業界全体で人手不足が顕著となるなか、勤務体制を多様化させたり、採用方法を工夫したりというソフト面の努力だけでは人材の確保が難しいと判断する企業が増加している表れといえる。なお、この結果は2017年2月14日発表の特別企画「2017年度の賃金動向に関する企業の意識調査」において、2017年度の賃金改善を見込む企業が51.2%に達し、その76.2%が賃金を改善する理由を「労働力の定着・確保」と回答した結果とも符合する。

これらの取り組みによって確保したい人材像のトップは「意欲的である」で、選択率は49.0%と、ほぼ2社に1社が求めているが、人物像類型で見ると「意欲的である」が類型される「能動型人材」よりも、「協働型人材」に類型される人物像を選択する企業の方が多く、選択率は78.4%に達した。その一方で、「変革型人材」に類型される人物像の選択率は25.8%にとどまっており、意欲は欲しいが、変化をもたらすような個性よりも、素直でコミュニケーション力が高い人物を求めるといった、チームワークを重視する日本の企業文化が示された。

最終更新:4/21(金) 13:04

帝国データバンク