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明王院三尊像とも南北朝初期制作か 広島・福山、専門家が調査

4/21(金) 20:20配信

山陽新聞デジタル

 広島県福山市草戸町、国宝・明王院五重塔の本尊「弥勒菩薩(みろくぼさつ)坐像(ざぞう)」の両脇に安置されている「不動明王坐像」と「愛染(あいぜん)明王坐像」(いずれも市重要文化財)の制作年代について、塔建立時から伝わる本尊と同じ南北朝初期の1348年ごろの可能性が高いことが、21日までに専門家の調査で分かった。建立時から三尊像がそろって残っている例は広島県内では珍しく貴重という。

 不動明王(高さ約27センチ)と愛染明王(同約34センチ)はいずれも寄せ木造りで、塔の1層に安置されている。1993年に本尊とともに市重文に指定されたが、本尊に比べ彫刻の仕上げが粗かった。仏像の制作技術は時代とともに低下したとされているため、室町末期と考えられていた。

 徳島文理大の浜田宣(あきら)教授(美術史学)が1月に調査。両像の着衣に施された数色の草花のような模様が、1層の壁画や柱絵の模様と一致していることを確認。同時期に制作された可能性が高いと判断した。

 浜田教授は「多彩な色による模様は南北朝期の特徴だが、剥がれ落ちたり、塗り直されたりして、現代まで残っているのは珍しい」と評価。年代が特定されたことで「美術史の中でも基準となる作品。仏像の制作年代を模様や様式で特定する研究の重要な手掛かりとなる」としている。

 浜田教授によると、本尊の彫刻技術との違いは、後世の補修の質が悪かったためという。現在、両像とも経年劣化で亀裂が生じ、模様も薄れてきている。「価値の逸失を食い止めるためにも早急な保存修理が必要」と説く。

 市教委文化財課は「明王院の魅力向上のため、修理の検討をしていきたい」としている。