ここから本文です

<マンション火災>母子家庭支援の弱さ象徴 子に睡眠薬使用の親も

埼玉新聞 4/21(金) 22:33配信

 埼玉県さいたま市南区沼影のマンション1階の飲食店アルバイト女性(31)方で19日夜に起きた火災。女性は仕事で外出中で、留守番をしていた0~5歳の子ども3人のうち長女(4)が死亡、長男(5)と次女(8カ月)が意識不明の重体となっている。働き方が多様化し母子世帯は増加傾向にあるが、市内に24時間預けることができる認可保育所はない。専門家は「母子家庭へのニーズ調査をして、早急に支える仕組みを整えていくべき」と支援策の充実を訴えている。

 厚生労働省は、午後10時以降に運営している認可保育園を夜間保育所と位置付けている。全国の設置数は2000年度の46カ所から増加しているものの、ここ10年は横ばい状態で15年度は82カ所。同省は「各自治体が地域の実情に応じ、必要性を鑑みて整備してほしい」としている。

 全国夜間保育園連盟の調べによると、24時間対応の認可の夜間保育園は昨年4月時点で全国に4カ所設置されているというが、埼玉県内にはない。同連盟の天久薫会長(76)は「女性の働き方が多様化し、特に都市部では夜間保育の需要がある。行政はニーズ調査で需要を把握すべき」と話す。

 さいたま市内には24時間対応の認可保育園はなく、担当者は「需要が少なく、保育士の確保も難しい」と回答。現時点で設置予定はないとしている。だが、同市が一人親の1500世帯を対象に行った13年の調査では、回答を得た419世帯のうち、親の帰宅時間に合わせて子どもを預かる施設など、「特性に合う保育施設」を必要とした親は3割を超えた。

 市内2カ所の認可保育園では、1歳~小学3年生までの子どもを午後10時まで預けることができる。ただ、利用料は1時間当たり500~千円かかり、食事代も別途。緊急時には1泊預けられるが、NPO法人に運営委託しており、費用は1万円と負担は大きい。

 「シングルマザーへの支援の少なさを象徴する火災。母親だけの責任ではない」。貧困問題に取り組む作家の雨宮処凛さんは、火災が起きた背景をそう指摘する。母子家庭の現状について「夜に働かなければ生活が成り立たない世帯は多い。中には子どもを置いて家を出るのを心配し、睡眠薬を飲ませてしまう人さえいた。母1人が責任を負わされていることが問題」と強調した。

 さいたま市は24時間の認可保育園を整備しない理由として「需要の少なさ」を挙げたが、雨宮さんは「簡単に声を上げられない。行政は母子家庭のニーズを掘り起こしていく必要がある。夜間でも安心して子どもを預けることができる制度を充実させ、所得に応じて、低価格や無料で利用できるようにしていくべき」と話している。

最終更新:4/22(土) 1:06

埼玉新聞