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打率1割台の倉本と、くさいグローブ

カナロコ by 神奈川新聞 4/21(金) 20:05配信

【カナロコスポーツ=佐藤将人】打率1割台(20日時点)の男のことを書きたい。横浜DeNAベイスターズのショート倉本寿彦だ。ラミレス監督は復調を信じて使い続けている。理由は単純だ。「下を向かず、日々前向きに取り組んでいるから」。指揮官の信頼を聞きながら、記者は昔日を思い出して、少し違うことを考えてうなずいていた。そうそう、倉本は大丈夫だと。

 彼のグローブはとてもくさかった。使い古して汗も雨も吸い続け、においがどうにもならない。同級生にも散々からかわれていた。
 横浜高校時代の話だ。
 野球推薦で入ってくる選手がほとんどの中、一般入試からレギュラーをつかんだ。くさいグローブは、こつこつ重ね続けた努力の何よりの証だった。

 話を今に戻す。

 背番号5は現在進行形で苦しんでいる。開幕から打率が1割台をうろついている。それでも我慢して起用する監督に、倉本はこんな風に感謝する。

 「絶対言われているはずなんです。倉本外せって。でも信頼してくれる。だからこそ、結果を出したい」。早出の特打を欠かさない。ただでさえ普段から練習の長い男は、さらに野球と向き合う時間を増やしている。その繰り返しこそが、高校まで無名だった自分がプロにたどり付いた理由だと知っているからだ。

 野球人としての、ずっと変わらぬ姿勢。その原点が、高校時代のあのくたくたのグローブにあった気がしてならない。

 先日、「ちょっと古い話だけど」と聞いてみた。「高校の時に使っていたあのくさいグローブはどうした? もう捨てた?」

 答えはノーだった。

 「まだ家にあります。捨てられないっすよ」
 思った。きっとこうやって、倉本は色んな壁を越えてきたのだなと。
 そして続けた言葉に、記者はずっと見落としていた倉本のもう一つの才能に気づかされることになる。

 詳しくはカナロコスポーツで。

最終更新:4/21(金) 20:14

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