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「RBS株、損失覚悟で追加売却」英財務相が表明 ロイズ株売却はほぼ完了

4/22(土) 10:40配信

ZUU online

英国政府は72%を保有するロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)の株式追加売却について、「損失を覚悟で売却する準備」 にはいったことを認めた。

2008年の金融危機以降、実質上国有化しているRBSの株を売却し、民営化への返還を狙った動きだが、1530億円の売却損をだした昨年の初回売却に続き、再び国民の血税が泡と消えることになりそうだ。

■オズボーン前財務大臣「売却の延期は代償を大きくするだけ」

英国政府は2008年の金融危機の際、RBSの救済措置として450億ポンド(約6兆2571億円)の公的資金注入を実施。以降7年にわたり78%の株式を保有していたが、景気回復基調に傾いた2015年8月、5.4%に値する6億株、21億ポンド (約2919億9744万円)相当の売却を開始した。

売却価格はひと株当たり330ペンス(約459円)と救済時より33%減であったため、総額11億ポンド(約1529億5104万円)もの売却損をまねく結果となった。

当時財務大臣を務めていたジョージ・オズボーン氏は、「売却を先延ばしにするほど、支払う代償が大きくなる」とし、納税者に多大なる損害をあたえたとの批判をはねのけた。

■ハモンド財務大臣「現実を見据え、納税者にとって最善の決断を」

従来の政府保有株の売却では、納税者の損失を踏まえての放出はあり得ない。しかし英政府の志す「金融システムの強化」や「財政再建」は、既存のモデルとは大きく異なるようだ。

Brexit(英EU離脱)にともなう政権交代直後、フィリップ・ハモンド財務大臣が新たに就任したが、実質上国有化した金融機関株の返還に関しては、前財務大臣と同じ見解を示している。

すでに昨年9月、新政権下でRBS株の再評価が進められていると報じられていたが、市場評価がさらに悪化していることは周知の事実であった。そこにBrexitの圧力が加わったことで、民営化へ押し戻すことは不可能ではないかとの見方が強まっていた。

そうした大衆の予想を裏切り、ハモンド財務大臣は4月の議会で、「現実を見据え、納税者にとって最善の決断をくだす必要がある」と前置きしたうえで、さらなる損失を覚悟のうえでRBS株の返還を検討している意向を述べた。

■ RBSは再建に向け大規模なブランド改革実施

英政府はRBSとともに救済したロイズ銀行の売却も、2015年から段階を追って進めている。金融危機時のロイズへの注入総額は230億ポンド(約3兆1966億円)。昨年11月には回収総額が170億ポンド(約2兆3627億円)を上回り、現在の保有株率は43%から2%に まで縮小している。近日中に全保有株の売却が発表される予定だ。

ハモンド財務大臣は救済した金融機関の返還を、今後も継続していく意向を表明している。

RBSは公的資金注入の条件として欧州(EU)委員会から命じられていた「国内316店舗の売却・分社」の実行にあたり、大規模なブランド改革 を行う。イングランドとウェールズでは傘下、NatWestを中核ブランドとし、スコットランドの200店舗は旧称の「ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド」にもどす。さらには300店舗を「ウィリアムズ・アンド・グリン」に改称する。

EU公的支援規則に従うために投じた金額は5年で15億ポンド (約2085億3483万円)にものぼり、EUとの交渉における押しの弱さが株主から批判を買った。

中道左派協同党のギャレス・トーマス幹事長は、「政府はウィリアムズ・アンド・グリンを相互銀行に転換することで、英金融機関の競争力を強化すべきだった」 と、多くの英金融機関で組織再編が実施されたにも関わらず、金融危機前より競争力が低下している点に落胆を見せた。(アレン琴子、英国在住フリーランスライター)

最終更新:4/22(土) 10:40
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