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「使えない」辺野古新基地と幻の代替案

4/22(土) 20:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への代替施設建設をめぐり、政府は近く「不可逆」とされる埋め立て作業に着手する。最も肝要な「県民の理解」を得ず、既成事実の積み上げにまい進する政府に改めて問いたい、本当に「辺野古が唯一」なのか。

「公明、県内陸上案を検討」

昨年10月、普天間飛行場の移設先に関し、沖縄の地元紙に掲載された記事に注目が集まった。

「県内陸上案」とは何か。

「名護市辺野古の埋め立てによる滑走路建設ではなく、キャンプ・シュワブ、ハンセンいずれか」 (2016年10月20日付沖縄タイムス) に代替施設を建設する案だという。 キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセンは、いずれも沖縄本島北部の米海兵隊演習場だ。現計画はキャンプ・シュワブの半島先端部をかすめる形で海域を埋め立てる案だが、「県内陸上案」は埋め立てを伴わない内陸部の既存基地内に造る案である。この案を「検討対象の一つ」として論議している、と報じられたのは公明党の「在沖縄米軍基地調査ワーキングチーム」(以後WT)だ。WTは昨年6月に発足。きっかけは昨年4月に沖縄県内で起きた元米海兵隊員の米軍属による女性暴行殺人事件だった。

辺野古以外も検討していた公明党WT

公明党関係者はこう話す。

「事件後、政府と米軍は再発防止を強調しましたが、党として沖縄県民の感情に寄り添ってもう少し踏み込んだ対策ができないかと、ゼロベースで沖縄の米軍基地の在り方を議論することにしたのです」

「ゼロベース」議論の中には、普天間の移設先として「辺野古」以外の選択肢を検討することも排除されていなかったという。WTは公明党の国会議員と沖縄県内の地方議員で構成。沖縄、東京で会合を重ね、基地視察のほか有識者や外務・防衛官僚のヒアリングも行っている。

公明党内部の状況については少し説明が必要だろう。 党の沖縄県本部は辺野古新基地建設に「反対」し、県外・国外移設を求める立場だが、東京の党本部は自民党とともに「推進」のスタンスで、地元と中央の間で「ねじれ」が生じている。

地元の党関係者はこう明かす。

「現行の辺野古案以外の有力案として検討されていたのは、軍事アナリストの小川和久氏の案です」

静岡県立大学特任教授の小川氏に取材を申し込むと、こんな答えが返ってきた。

「私は1996年の普天間返還合意以来の当事者です。日本側の当事者能力の不在に失望しています。私が提案した以上の構想が出ていないからです」

「当事者」を自認する小川氏の強い思いにひかれ、4月中旬、取材に臨んだ。小川氏は開口一番、こう言った。

「米軍は冷ややかに見ていますよ。軍事的合理性から見れば、まったく使えない施設ですから」

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最終更新:4/22(土) 20:10
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