ここから本文です

「格差婚」夫より高収入な妻が不眠・うつに悩んでいる――欧米

4/23(日) 10:10配信

ZUU online

女性の社会進出促進が進んでいる欧米でも、「格差婚」に対する罪悪感や羞恥感が根強いことが数々の調査から判明した。

また格差婚の妻の多くが夫より家事をこなすことで、「夫にとって脅威的な存在ではない」と主張する反面、不眠やうつに悩まされている事実も報告されている。

■格差婚妻「夫より所得が増え、恥ずかしいと感じた自分に当惑」

働く女性が当たり前になった現代社会では、「夫より高収入な妻(あるいはパートナー)」も珍しくなくなった。しかしそうした格差婚を「夫婦関係に亀裂を走らせる要因」と見なす風潮は、女性の社会進出が進んだ欧米でも依然として根強い。

「妻が夫より高所得の家庭は離婚する確率が著しく上昇する」といった調査結果は様々な研究機関から発表されているが、離婚率があがる決定的な要因についてはあまり追求されていない。

調査に協力した格差婚妻は、確定申告書から自分の所得が夫の所得より多いと知った際、「驚いたと同時に恥ずかしかった。そして恥ずかしいと感じた自分に当惑した」とコメントしている。こうした妻側の複雑な心理はどこに根差すものなのだろう。

■所得が増えるほど、家事分担も増える妻

格差婚=妻の方が就業時間が長いというパターンが多いため、「妻の役割(家事・育児など)がおろそかになる」という声が聞かれる。しかし就業時間や所得に関わらず、共働き夫婦では「妻の方が圧倒的に家事や育児に費やす時間が長い」という。

米コミュニケーション・コンサルティング企業、Whitman Insight Strategies が、家計を支える割合が同等の共働き夫婦を対象に、家事分担の割合を調査した結果を見ると、食料品の買いだし(夫65%、妻90%)、食事の支度(48%、85%)、掃除(48%、88%)、子どもを含む家族の世話(39%、55%)など、妻にのしかかる負担は夫のほぼ2倍である。

さらに不可解なことに、妻の所得が多くなればなるほど妻の家事・育児の分担は増えるという。「仕事が忙しくなればなるほど、家庭のことには構っていられない」という、一般的な夫の法則とは180度逆である。

社会理論学的には「妻側の罪悪感」と分析されている。従来夫のものであった大黒柱という役割をうばう形になった妻が、「夫を労わる」目的で自ら家庭でも積極的に労働に励むというのだ。

この説でいうとある種の罪滅ぼしということになるが、古くから女性の役割とされてきた家事や育児をこなすことで、女性として、妻としての位置づけを確保すると同時に、「夫にとって脅威の存在ではないとアピールする意図」もあるのではないかと推測される。

■「夫に代わる大黒柱」のプレッシャー

しかし仕事と家庭の両立は簡単なことではない。家事も積極的にこなしている格差婚妻になると、なおさらプレッシャーは高まるようだ。

米ミズーリ州のセントルイス・ワシントン大学が1997年から2006年にかけて、20万組のデンマーク人夫婦 を対象に実施した調査からは、「夫より高収入の妻は抗うつ剤や睡眠薬の服用度が高い」 結果が報告されている。

うつや不眠に悩まされる原因までは明かされていないため憶測の範囲になるが、仕事や家事のストレスに加え、夫より所得が多いことへの罪悪感、あるいは夫が自分ほど稼いでいないことへの羞恥感や憤りに根差している可能性も高い。

事実婚夫婦にはそのような傾向は見られなかったため、増加中の事実婚夫婦と法的に婚姻関係を結んだ夫婦の間には、決定的な「圧力の差」が存在していることがわかる。この圧力が責任の重さに起因することは、調査に協力した多くの格差婚妻の「夫に代わって家計を支える行為がストレスになる」という回答にも反映されている。

■夫より高収入な妻への罪悪視は、学歴も影響する?

ほかにも興味深い調査結果が、米イリノイ州シカゴのブース経営学大学院から報告されている。「夫より高収入な妻を罪悪視する傾向は学歴の差にも影響される」というのだ。

「妻の所得が夫の所得より高いと必ずもめごとにつながる」 と答えた割合は、4000組の夫婦中、大卒の夫婦が28%、高卒(あるいはそれ以下)の夫婦が45%。実際、低学歴の夫婦間では夫が大黒柱であるケースが圧倒的に多いそうだ。

これは男女所得格差に学歴格差が加わることで、低学歴の女性が夫以上に稼ぐことが困難である現状を表しているものかと思われる。

いずれにせよ「妻が夫より高所得の家庭は離婚する確率が著しく上昇する」といわれる原因と、妻側の罪悪感や羞恥心に深い関連性があることは疑う余地がない。そうした不安定な精神状態が、様々な形で夫婦関係に亀裂を生じさせていくのだろう。

社会に出るよう励ましを受ける一方で、夫の所得を上回ってしまったばかりに離婚に至るような環境では、女性が輝ける社会の実現は不可能だ。

格差婚問題で離婚寸前という状態を経験した女性は、「最終的には夫とのコミュニケーション不足が原因だった」と語った。プレッシャーと戦う自分の弱さをさらけだし、夫に理解してもらうことで、夫婦関係が改善したという一例だ。(アレン琴子、英国在住フリーランスライター)

最終更新:4/23(日) 10:10
ZUU online