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「追悼碑」模した作品展示見送り 群馬県立近代美術館の企画展 「係争中」理由

4/23(日) 6:00配信

上毛新聞

 群馬県立近代美術館(高崎市綿貫町)で22日始まった企画展「群馬の美術2017」で、県立公園群馬の森(同所)にある朝鮮人労働者の追悼碑を模した作品について、同館が開催直前に展示を取りやめたことが分かった。県は碑の設置許可の更新を巡って市民団体と係争中で、同館は「どちらか一方に偏るような展示は適当でないと判断した」と説明。作者で、県立女子大講師で美術家の白川昌生(よしお)さん(69)=前橋市=は「碑を巡る状況を問題提起したかった」としている。

◎中止判断受け作者が直前に撤去 「文句を言ったところで始まらない」

 作品は「群馬朝鮮人強制連行追悼碑」。木の骨組みに布を掛け、追悼碑をほぼ原寸大で表現した立体作品。歴史を後世に残そうと制作し、今年2、3月に鳥取県立博物館で展示された。

 白川さんと近代美術館によると、白川さんは3月中~下旬、追悼碑に関わる作品を展示する意向を学芸員に伝えていた。21日に会場の確認作業をしていた職員が作品に気付き、同日夜、岡部昌幸館長が展示の取りやめを決めた。白川さんは22日、開場前に作品を撤去した。

 白川さんは「何か言われるのではないかという懸念はあったが、文句を言ったところで始まらない」とした。

 岡部館長は「係争中の案件であるため修正をお願いした。作家から了解を得られたため決断した」と話し、五十嵐優子県生活文化スポーツ部長は「展示中止の判断は適切だった」とした。

 企画展は、県内を拠点に活動する現代美術家15人の作品計約70点を6月下旬まで展示する。

◎経緯、意義に賛否 自民県議「一定配慮が必要」/市民団体「表現の自由侵害」

 「展示には一定の配慮が必要」「表現の自由の侵害だ」―。県立近代美術館(高崎市綿貫町)が、白川昌生さん(69)=前橋市=の一部作品の展示に難色を示し、実現しなかったことに対し、さまざまな意見が聞かれた。

 同館がある県立公園群馬の森に建立された朝鮮人労働者の追悼碑の設置許可の更新を巡って、県と市民団体の「『記憶 反省 そして友好』の追悼碑を守る会」の民事訴訟が続いている。

 自民党の狩野浩志県議は美術館の対応に理解を示し、「表現の自由は憲法で保障されているが、展示内容や場所には一定の配慮が必要」とした。

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最終更新:4/23(日) 6:49
上毛新聞