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国連「SDGs」、日本企業の動き鈍く 経営導入わずか9%

4/23(日) 8:00配信

日刊工業新聞電子版

12兆ドルの経済価値

 2030年のあるべき経済・社会像を描いた国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)の達成に向けた日本企業の動きが鈍い。グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)などの調査によると、半数の企業がSDGsを理解する段階にあった。経営層や中間管理職の認知度が低く、SDGs達成への貢献を利益に結びつけるために、社内への浸透が必要となる。

 SDGsは国連が15年9月に決めた世界共通目標。気候変動、エネルギー、資源、教育、医療など幅広い分野で個別目標がある。世界経済フォーラム(ダボス会議)は、SDGsを達成すると12兆ドルの経済価値が生まれるとする。海外企業は商機と捉え、SDGsを経営目標に組み込んでいる。GCNJは国連が提唱する人権や環境などの原則に署名する企業・団体が参加。16年9月、地球環境戦略研究機関(IGES)と共同でGCNJ会員233社・団体にアンケートを実施した。

 今回回答した147社・団体のうち、国連などが作成したSDGsを経営に取り込む手引きを参考にする企業は99社。そのうち54%が「SDGsを理解する」段階にあり、「経営に統合する」段階は9%だった。SDGsが「経営層に定着しているか」に対する回答は15年の前回調査を8ポイント上回ったものの、28%にとどまった。中間管理職は5%と低く、前回から1ポイントの上昇だった。

トップダウンで経営と統合

 IGESの森秀行所長は「欧米はCEO(最高経営責任者)がSDGsを知っている。日本はCSR(企業の社会的責任)部門だけが知っている」とギャップを分析する。GCNJ事務局の上野明子次長は「中間管理職がやる気にならないと現場での行動につながらない」と指摘する。

 SDGsには「非感染症疾患による若年死亡率を3分の1減少」、「エネルギー効率の改善度を倍増」など30年に向けた市場ニーズとも言える数値目標がある。また、機関投資家が中長期の成長戦略を評価基準にするようになり、企業はSDGsが中長期目標を設定する参考になる。

 オムロンはSDGsと照らし合わせながら事業の強みを整理した中期経営計画を近く公表する。サステナビリティ推進室の平尾佳淑室長は「経営トップが社外でSDGsを知り、経営層から社内へ下りてきた」と説明する。トップの理解があると、経営と統合しやすいようだ。

 サラヤ(大阪市東住吉区)もSDGsに取り組む。森林保全や途上国の衛生など社会課題解決と、主力のヤシの実洗剤を結びつけた市場戦略が評価され、日本政策投資銀行から低利子融資を受けた。