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リコー、AI・ビッグデータでビジネスプロセスを改革 生産品質や人事に拡大へ

4/24(月) 14:10配信

日刊工業新聞電子版

不可能な改善狙う

 リコーは自社のビジネスプロセス改革に向け、ビッグデータ解析や人工知能(AI)の活用を拡大する。複合機の故障予測に続き、最適な買い替え時期の算出にも活用し始めた。今後は生産品質や人事などの分野でも活用する考え。取り組み状況や課題を探った。

 「画像解析などでもAIを活用しているが、ビジネスプロセス改革への利用は一段と難しい挑戦だ」。改革を推進する研究開発本部リコーICT研究所の佐藤敏明技師長はこう説明する。現在は営業や生産品質、人事の分野で複数のプロジェクトを進めている。「一つの部署では有効な視点を得られない課題を選んだ」(佐藤技師長)としており、各部門内では不可能な改善を狙う。

 まず2013年に複合機の故障予兆診断システムを稼働しており、これにより「サポートのあり方が激変した」(同)。故障を予測することで、予防措置を打てる。予測前に故障しても顧客へ訪問する前に原因を分析し、復旧時間を短縮できるようになった。

 次に、顧客ごとに複合機の最適な買い替え時期を算出するシステムの運用を始めた。従来は新製品発売や更新時期に買い替えを提案していたが、購入に結びつかないケースも少なくなく、人手もかかっていた。また、顧客によっては最新製品が一番良いとは限らない。現在は顧客の業界動向や業績、複合機の利用状況、景気動向などのビッグデータを解析することで「本当に買いたい時に、タイムリーに最適な商品を提案できる」(同)という。

 今後、さらに活用の範囲を広げる上で、カギを握るのは解析システムや運用方法を開発する人材だ。佐藤技師長は「AIを含めた最先端の統計解析技術を持ち、各部署の現場を積極的に学ぶ人材が必要になる」と説明。AIは欠かせない技術だが、それだけでは足りないと指摘する。

 と言うのも、解析システムに組み込む膨大な算出モデルは、機械学習で自動作成できるが、全てではない。稼働台数の少ない古い機器向けの算出モデルは、人が作成した方が良いという。このため、AI以外にも最先端の統計解析の知識が求められる。また、現場で仮説と検証を繰り返すため、フットワークの軽さも重要だ。「担当部署には約20人在籍しており、教育をしながら年2―3人のペースで増員する」(佐藤技師長)。

 AIブームの今だからこそ、AI以外の技術や技能も持つ人材の育成を進めて活用範囲を広げる構えだ。