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お値段65万円! 最強DAP、AK380のボディ違い3機種を徹底比較・2

4/25(火) 12:30配信

Stereo Sound ONLINE

 音楽とオーディオをこよなく愛するライター・伊藤隆剛さんによる、アステル&ケルンのDAP(デジタル・オーディオ・プレーヤー)「AK380 Stainless Steel Package」レビュー。このページでは第2弾をお届けする。(Stereo Sound ONLINE編集部)



 というわけで早速、聴いた楽曲ごとのインプレッションをお伝えしていきたい。今回はいずれもアンプをドッキングさせ、画面設定から出力はローゲインに設定。フィットイヤーのカスタムIEM、Private223にORB(オーブ)の2種のリケーブル、2.5mmバランス仕様の「Clear force FitEar Balanced」と3.5mmアンバランス仕様の「Clear force FitEar 3.5φ」を組み合わせて聴いた(インプレッションはおもにバランス接続時のもの)。

 回路設計やDACチップの変更ならまだしも、筐体の素材を替えることにどれだけの音質差が生じるのだろうと思っていたのだが、その差は伝え聞いていた通りというか、それ以上。端的に言ってしまうと、圧倒的な情報量をフラットなバランスで余裕たっぷりに聴かせるAK380本来の持ち味に、AK380 Copperはウォーム&マイルド、AK380 SSはクール&ソリッドな印象が加わる。ノーマルモデルとCopper/SSモデルの間にはクォリティ的な差が確かに感じられるが、CopperとSSの間にあるのはクォリティではなく個性の差と言っていいと思う。

●手嶌葵 「想秋ノート」
(アルバム『青い図書館』より。96kHz/24bit/FLAC)

 まずノーマルのAK380で聴くと、見晴らしの良い音場に2台のアコーディオンとウッドベースというシンプルな編成が配置され、吐息に近い歌声を過不足なくバックアップする様子が緻密に、それでいて箱庭的ではないスケール感で再現される。バランス接続ということもあり分離感が高く、2台のアコーディオンそれぞれのフレーズをはっきり聴き分けることができる。
 
 モニター的な客観性を持ったノーマルのAK380に対し、AK380 Copperでは音像がグッと前にせり出し、広い音場に豊かな奥行感が加わる。アコーディオンの一音一音が太くなったことで和音の厚みが増し、ウッドベースが静かにしなる様子もよくわかるように。ヴォーカルの温かみと湿り気が強調されることで、歌い手がより身近に感じられる。

 AK380 SSは、ノーマルのAK380の延長線上と感じられる音で、とにかく緻密でS/Nが良い。アステル&ケルンでは、SS素材を採用することでノイズフロアの低減によるクリアネスとフォーカス感の向上を図ったと説明しているが、思わず笑ってしまうほどその狙いがはっきりと音に表れている。Copperに比べると明らかに硬質で冷たい調子なのだが、それでいて音楽がつまらなく聴こえないのは、ディティールの集積が圧倒的な生々しさにつながっているからだ。

●ポール・サイモン「The Werewolf」
(アルバム『Stranger to Stranger』より。96kHz/24bit/FLAC)

 ノーマルのAK380で聴いても、その情報量の多さ、分解能の高さは明白だが、ぱっと聴く限りではそれよりも広々とした音場感やリズムの歯切れの良さに耳を持っていかれる。帯域バランスはフラットながら中低域にしっかりとした厚みがあり、エッジーにならない柔らかな聴き心地が好印象だ。

 先ほどの手嶌葵の曲では温かみのある音調が印象に残ったAK380 Copperは、この曲では落ち着いた中にもスピード感を備えた力強さに驚かされる。複雑に組み上げられたリズムセクションがヴォーカルの背後に屹立し、それを支える超低域の厚みと質感も十分だ。高域を飛び交うシンバルやサウンドエフェクトはいずれも機敏で精彩だが、アンサンブルの中心にあるヴォーカルを聴きづらくするようなことはない。

 AK380 SSでは、この曲の情報量の多さが目一杯引き出される。細かな音のひとつひとつを、顕微鏡を覗き込むように聴き取ることができる。特にシンバルなど金物系の伸びやかな再現は痛快で、前の2モデルでは聴こえなかった音がたくさん聴こえて賑やかだ。フォーカス感が高く分析的であるいっぽう、エネルギー感に満ちており、ノーマルのAK380に比べて明るく元気な印象だ。

(つづく)

■今回レビューしたアイテム

【AK380 Stainless Steel Package】
64万9980円(税込、直販価格)
●対応ファイル:384kHz/32bit(PCM)、11.2MHz/1bit(DSD)
●搭載メモリー容量:256GB
●搭載拡張スロット:microSDXC×1(最大256GB)
●接続端子:ヘッドホン2系統(3.5mmステレオミニ/光デジタル兼用、2.5mm4極バランス)
●無線機能:Wi-Fi、Bluetooth(SBC、aptX、aptX HD)
●寸法/質量:W79.8×H112.4×D17.9mm/約340g
●備考:AK380 AMP SS付属(質量:約163g)

【AK380 Copper】
54万9980円(税込、直販価格)※生産終了
●対応ファイル:384kHz/32bit(PCM)、11.2MHz/1bit(DSD)
●搭載メモリー容量:256GB
●搭載拡張スロット:microSDXC×1(最大256GB)
●接続端子:ヘッドホン2系統(3.5mmステレオミニ/光デジタル兼用、2.5mm4極バランス)
●無線機能:Wi-Fi、Bluetooth(SBC、aptX、aptX HD)
●寸法/質量:W79.8×H112.4×D17.9mm/約350g
●備考:AK380 AMP Copperは別売(質量:約297g、直販価格14万9980円)

【AK380】
49万9980円(税込、直販価格)
●対応ファイル:384kHz/32bit(PCM)、11.2MHz/1bit(DSD)
●搭載メモリー容量:256GB
●搭載拡張スロット:microSDXC×1(最大256GB)
●接続端子:ヘッドホン2系統(3.5mmステレオミニ/光デジタル兼用、2.5mm4極バランス)
●無線機能:Wi-Fi、Bluetooth(SBC、aptX、aptX HD)
●寸法/質量:W79.8×H112.4×D17.9mm/約350g
●備考:AK380 AMP Copperは別売(質量:約297g、直販価格14万9980円)

問合せ先:アイリバーサポートセンター 0570-002-220

【伊藤隆剛(いとうりゅうごう)】
広く深い音楽の知識だけでなく、オーディオ面でのこだわりにも定評のあるマルチライター。月刊『HiVi』編集者時代に多くの経験を積み、オーディオの魔力に開眼

Stereo Sound ONLINE / 伊藤隆剛

最終更新:4/25(火) 15:14
Stereo Sound ONLINE