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GM表示見直し着手 混入割合引き下げ焦点 消費者庁

4/25(火) 7:01配信

日本農業新聞

 消費者庁は、遺伝子組み換え(GM)食品の表示制度の在り方で有識者による検討会を立ち上げ、表示対象の拡大を視野に議論に着手する。現行制度は2001年4月にスタートし、この間の分析技術の精度向上や、GM作物の栽培拡大・流通の変化などを踏まえる。表示義務がない混入割合は、現行は5%未満と他国に比べて緩く、どこまで狭められるかが大きな焦点だ。より詳しい表示ができれば、消費者の商品選びに役立ち、国産農産物に追い風になるとみられる。初会合を26日に開き、17年度内に取りまとめる予定だ。

厳格化で国産追い風

 現行制度は大豆、トウモロコシ、ジャガイモ、ナタネ、綿実、アルファルファ、テンサイ、パパイアの8種類の農産物に表示を義務付けている。それらを原材料とする豆腐、納豆、みそ、スナック菓子など33食品も表示の対象。

 ただ、GM作物の使用重量が小さく、原材料に占める割合が上位4位以下や5%未満であれば、表示する義務はない。5%未満で線引きすることには、当時から消費者団体などから緩いとの指摘があったが、「意図せざる混入」として認められた。

 一方、欧州連合(EU)ではGM作物を使った加工食品の全てを対象に、表示を原則義務付けている。「意図せざる混入」が許されるのは0.9%未満まで。韓国は3%未満で、日本よりは厳しい。

 しょうゆ、油、でんぷんから加工される果糖ブドウ糖液糖などは、現在は任意表示にとどまる。加工工程でGM作物のDNAやタンパク質が分解されるなどして検出できないという理由だ。それらの原料の大豆、ナタネ、トウモロコシは、米国やカナダなど主産国でGM比率が9割台に達しており、義務表示を求める声が消費者団体などに強い。消費者庁は「必要とあれば、検討会の中で議論する」との構え。

 検討を左右するのは、技術的な課題に加え、表示拡大に対する各業界、団体の主張だ。消費者団体の関係者は「消費者が情報を手に入れる幅が広がる」と期待する声が上がる。一方で「分析による設備投資などで加工業者のコストが膨らみ、商品価格に転嫁される恐れもある」と消費者の負担増加を懸念する見方もある。

 加工業からは冷静な受け止めも聞かれる。関係者は、大きな影響はないと予測し、「多くの業者が既に分析技術を高めている。『意図せざる混入』を引き下げられても対応できるだろう」と指摘する。

 国内農家からは、消費者がGM食品を改めて考えるきっかけになると期待する声が上がる。北海道恵庭市の大豆生産者は「消費者の食への意識が高まり、厳しい基準で生産された国産大豆に関心を持ってほしい」と話す。

 世界のGM作物の作付面積は、1996年に170万ヘクタールだったが、現行の表示制度ができた01年には5260万ヘクタール、15年で1億7970万ヘクタールと急増している。

 26日の検討会では、消費者庁がGM表示に関する海外の状況と消費者アンケートの結果を報告し、今後の検討会の進め方などを議論する予定だ。

日本農業新聞

最終更新:4/25(火) 7:01
日本農業新聞