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沖縄の「チムグクル」、埼玉から発信 地域交流や文化伝えるイベントに全力

4/25(火) 16:50配信

沖縄タイムス

カフェギャラリー南風代表  山田ちづこさん(67)=石垣市出身

 バイタリティーあふれる行動力に自然と周囲に人の輪ができる。「多くの人に郷里を知ってほしい」。現在住む埼玉と沖縄を股に掛け、次々と催し物を企画。平和を願うウチナーンチュの肝心(ちむぐくる)や造詣の深い伝統工芸など、沖縄の“伝道師”として飛び回っている。

 旧姓は安室。7歳まで石垣島で育った。軍医だった父孫芳(そんぽう)さんが大学院で勉強するため一家で上京。5年後、沖縄へ戻り、父は那覇市の農連市場そばに産婦人科医院を開業した。近くには壺屋焼の陶工で、のちに県内初の重要無形文化財保持者(人間国宝)となる金城次郎さんが住んでいた。金城さんの妻が父の病院を受診したことをきっかけに、家族ぐるみの付き合いが始まった。

 当時から名工の誉れが高かったが、「気さくなおじちゃん」という印象が強い。時折、昼飯を作り、金城さんの家に届けた。少しだけ欠けた作品は「これ、持っていっていいよ」と気軽に声を掛けてくれた。

 窯出しには父も呼ばれ、沖縄タイムス創立に関わった豊平良顕さんやジャーナリストの筑紫哲也さんらと共に真っ先に選んだ。父の収集品は専門書の表紙を飾るような貴重な一品も多く、今はさいたま市のカフェにずらりと並ぶ。

 結婚して埼玉に移り住み、二十数年前にカフェを立ち上げた。「沖縄の人で固まるのが嫌い」と語るように、専ら地域住民のたまり場。県人会をつくったら、とよく言われるが、県外で一人でも多く沖縄ファンを増やしたいと、地域との交流に軸足を置く。「八重山ヒジュルーですね」と笑う。

 昨年11月には「沖縄を見る、知る、食べる」をテーマに「埼玉・沖縄文化祭」を企画。沖縄戦の朗読会や映画鑑賞、沖縄料理を食べながらの三線演奏会などを催した。昨年6月にはツアー客を率いて那覇市で朗読会を行った。今年は糸満市の沖縄平和祈念堂で予定している。

 人と人のつながりを大切にここまで進んできた。それでも、催しの多くは赤字で、収支がトントンになれば御の字。沖縄文化に興味はあっても、平和教育・戦争になると腰が引ける人も少なくない。「文化を入り口に歴史を知ってほしい。これからも、やりたいこと、好きなことをしていく。やって無駄なことはない」。前向きな気持ちを胸に草の根の活動を続けていく。(東京報道部・西江昭吾)=連載・アクロス沖縄〈46〉

 【プロフィール】やまだ ちづこ 1949年、石垣市生まれ。小1~5年は東京で過ごし、沖縄に戻る。那覇高を卒業し、東京の日本女子大に進学。卒業後、NHK沖縄の「FMリクエストアワー」のアシスタントを2年務める。結婚して埼玉に移り住んで40年。カフェでは工芸品販売や沖縄料理の提供の傍ら、多彩なイベントも行っている。

最終更新:4/25(火) 16:50
沖縄タイムス