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移民問題は難しい? トルコ国民投票、在独トルコ人賛成多数でドイツに動揺

4/26(水) 11:50配信

THE PAGE

 トルコで大統領への権限集中を実現する国民投票において賛成多数となったことで、ドイツ国内には動揺が広がっています。民主主義を半ば否定する今回の憲法改正に対して、何とドイツに移住したトルコ人の多くが賛成票を投じたからです。ドイツに移住したトルコ人はどのような意識を持っているのでしょうか。

民主主義の恩恵を享受しながら独裁強化に賛成票

 トルコのエルドアン大統領は自身の権限を強化するための憲法改正案について国民投票を行いました。エルドアン氏は近年、強権的な傾向を強めており、政権の方針に反対する公務員を大量解雇したり、メディアを弾圧するなど反対勢力を力で封じ込めようとしています。国民投票が可決されてしまうと、エルドアン氏による独裁が強化されるとして欧州各国は懸念を強めていました。

 結局、エルドアン氏を支持する人が多く、賛成51.3%、反対48.7%とエルドアン氏が勝利したのですが、この結果に驚愕しているのがドイツ人です。ドイツは人権を極めて重視しており、エルドアン氏による非民主的な国家運営についてたびたび批判してきました。

 ドイツは多数の移民を受け入れており、その中にはトルコ人も大勢います。ドイツで仕事を見つけ、人権が保障されたドイツ国内で豊かな暮らしをしているトルコ人は、民主主義の否定につながる今回の国民投票には反対するだろうと多くのドイツ人は考えていました。ところがフタを開けてみると、今回投票した在独トルコ人の過半数が、エルドアン氏の独裁強化に賛成票を投じてしまったのです。

 一部のドイツ人は、こうした在独トルコ人に対して、自分達はドイツ国内で民主主義の恩恵を100%享受しておきながら、母国における非民主的な活動を支持するのは好ましくないと批判しています。

ドイツで成功したトルコ人でも味わう疎外感

 今回の出来事は、移民問題の難しさを象徴しているといってよいでしょう。ドイツに渡り、ドイツで成功したトルコ人であっても、ドイツ社会では疎外感を味わっているともいわれています。

 ドイツは、エルドアン氏の非民主的な政権運営をことあるごとに批判してきましたが、在独トルコ人の多くは理屈では正しいことが分かっていても、心情的には受け入れられなかったのかもしれません。

 トルコはイスラム圏の国としては珍しく、日本の近代化に触発され、自力で近代化と民主化を進めてきた数少ない国です。EU加盟が目前といわれるまでに民主化を成し遂げましたが、古い価値観との折り合いが付かず、エルドアン政権の誕生後は復古主義的な雰囲気が強まっています。

 西欧諸国は民主主義社会での自由で豊かな暮らしを経験すれば、誰でも民主的な精神を身に付けられると考えがちですが、全員がそうできるとは限りません。トルコ人は微妙な立ち位置にいるといってよいでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:4/30(日) 6:09
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