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高級化する武蔵小杉ータワマン新住民と旧住民は融和できるか

4/26(水) 7:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

そこだけ突然現れた摩天楼のようにタワマンや大型商業施設が次々と建設され、ニューリッチな若い子育て世代が増える東急東横線武蔵小杉駅の東側。一方、東横線をはさんだ駅南西側の「法政通り商店街」には昔ながらの駅前商店街の街並みが残る。タワマン新住民ともとから住む旧住民。「断層」を埋めようとさまざまな取り組みが広がる。

「あちらは(山の手を意味する)アッパータウン。東横線のガード下をくぐって、こちらは”スラム街”です」

法政通り商店街で花店「花よし」を営む2代目店主、石川精さん(55)は冗談交じりにこう語る。法政二高の生徒たちが大挙して校内合唱コンクールのポスターを店頭に張ってと頼んできたり、「子ども110番」のステッカーが多くの店に張り出されていたりする今も人情味あふれる商店街だ。

閉店した「街のケーキ屋さん」

法政通り商店街は1955年ごろにできた。周辺には東京機械製作所や不二サッシの大工場のほか、多くの町工場や社宅があり、高度成長期にはサラリーマン家庭の客層をうまく取り込んだ。しかし、この60年余りの歴史を誇る昭和風情の商店街も、タワマンに隣接する「東急スクエア」や「グランツリー」「ららテラス」など大型商業施設の出現で厳しい状況に陥っている。

法政通り商店街の入口近くで10年以上営業を続けてきた洋菓子店「西洋菓子フェリシア」は1月22日に閉店した。おしゃれな店構えで、「街のケーキ屋さん」として地元で愛されてきた。協同組合武蔵小杉商店街の大野省吾理事長(77)は「確かに(タワマン林立で)人口は増加したけど、客足は法政通りまでにはなかなか及んでいない。逆に賃料の値上げで個人商店は厳しい。全国チェーン店に変わる傾向がある」と話した。

タワマン購入者の年収は1000万円以上

川崎市は2014年6月から1カ月間にわたり、中原区在住の満20歳以上の2000人を対象に、タワマンの建設ラッシュが続く武蔵小杉駅周辺の再開発計画についてアンケートを実施した。 物販・飲食店舗・サービス施設について、一番意見が多かったのは「商業施設は不要」。次いで、「地元商店街との共生」が続いた。開発計画全般については「高層住宅建設に反対」がトップ、続いて「ビル風への懸念・対策の要望」が続いた。

確かにJR武蔵小杉駅北口で再開発が進む小杉2丁目を歩くと、「日影・風害・街壊し 超高層ビル建設反対!」といった黄色の幟(のぼり)を軒先に掲げる民家が数多く見受けられる。小杉2丁目には建設中を含め、あと5棟のタワマンが建設される予定で、町内一帯は現在、日中ずっと工事の音が響き渡っている。ビル風も強い。

小杉2丁目の町内会長、伊藤巌さん(72)は、町内会員がこうしたタワマン反対の黄色の幟を何年も前から掲げていると話す。小杉2丁目のタワマン計画をめぐっては、13年2月に地元住民が約3万9000通の反対意見書を市に提出した。しかし、タワマン建設の計画は予定通りに進んでいった。 伊藤さんは「意見書では後背地の個人住宅地にもっと配慮した計画に変更するよう求めたりした。しかし、7、8年ほど前にすでに計画は市議会で決まっており、動かしようがなかった」と話す。

タワマンに住む住民はどのような人々か。住宅情報サイト「SUUMO(スーモ)」の池本洋一編集長は、一般にタワマン購入者の年収について、夫だけに収入があるシングルインカムの場合は1000万円以上、夫と妻の両方の収入があるダブルインカムの場合は1200万円以上と指摘する。小杉のタワマンは6000万円台から1億円台ほどで、東京都心に比べればそれでもリーズナブルな価格帯という。

「都心のタワマンが坪単価450万円に対し、小杉のタワマンの坪単価は330万円。恵比寿や目黒など東京23区の西側の人気エリアに比べるとまだ割安感がある。成約者に占める東京23区の在住者比率は40%。小杉はタワマンの供給源になっています」(池本編集長)

武蔵小杉が「住みたい街ランキング」で毎年上位に入る理由については、「これから発展しそう」や「資産価値が維持できそう」「利便性」が目立つという。

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