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SATCで人気の靴ブランド「ジミーチュウ」売却 投資会社JABはコーヒー投資に専念

4/27(木) 6:10配信

ZUU online

ルクセンブルクに拠点を置く投資会社、JABホールディングスが高級靴ブランド、ジミーチュウを売却し、急成長中のコーヒー事業に専念することを明らかにした。

インターネットの普及や消費者趣向の変化から、高級品市場は著しく低迷している近年、投資市場の潮流も「庶民には手の届かない高級品」から「より生活に密着したカジュアルな商品やサービス」へと変わっていくことが予想される。

■生き残りをかけて経営再建に乗りだした高級ブランド

1998年から2004年にかけて放映された米TVドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」の中で、主演女優のサラ・ジェシカ・パーカー氏が愛用していたことから、流行に敏感な女性の間で人気に火がついたジミーチュウ。全盛期には世界34カ国、170店舗 を展開していた。

JABは2011年、タワーブロック・キャピタル・パートナーズから8億ドル(約 890億4800万円)でジミーチュウを買収。2014年にロンドン証券取引所でIPOを果たした際の評価額は、5億4560万円(約 607億5256万円) だった。

2013年の純売上高は1億5000万 ポンド(約214億3264万円)と報じられていたが、すでに高級ブランドブームにはかげりが差しかけており、ブルガリがLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)に37億ユーロ(約4508億4612万円)で買収されたほか、Hermesがジャン・ポール・ゴルティエをスペインの香水メーカー、プーチに売却するなど、存続を賭けた再建が相次いだ。Pradaが香港取引所に上場したのもこの頃である。

■JAB「高級品へ投資を主力からはずす結論に至った」

その後も世界的な経済低迷や若者の高級ブランド離れなどが続き、米コンサルティング会社、ベイン・アンド・カンパニーによる昨年の市場調査からは、高級商品市場自体が約1%縮小し、売上が2490億ユーロ(約30兆3271億円) と前年から20億ユーロ(約2435億9110万)落ちこんだことなどもわかっている。

JABは事業に多様性をもたせる意図で、2012年、Peet’s Coffee & Tea、Caribou Coffee、Keurig Greenといった米コーヒー・ブランドを精力的に買収し始めた。近年急成長と遂げているコーヒー産業に乗りだした結果、「高級品へ投資を主力からはずす結論に至った」 とニューヨーク・タイムズ紙は報じている。

今後は37%の株式を保有する仏香水ブランド、COTYを残し、スタンプタウン・コーヒー・ロースターズやIntelligentsia Coffee & Teaなど、高品質を売りとしたコーヒーブランドの投資に専念する。

■デジタルチャンネルを屈指して存続に賭ける?

JABが高級品への投資に踏みだしたのは2007年。ほかにもバリー、ベルスタッフ、デレック・ラム、Zaglianiといった高級品メーカーへの投資を続けてきたが、世界的な売上低迷の壁を打ち破れず方向転換を余技なくされた。

ジミーチュウ売却については、現時点(4月24日)ではオファーがないことをJABは明かしているが、売却発表後、株価は172ペンスから189.75ペンス(約245円から271円)まで急上昇している(4月25日データ)。

バリーの同時売却も検討しているJABの動きは、「高級品からカジュアルに」「モノから経験へ」と消費者の支出趣向がシフトしている点を見越したもので、今後同様の潮流が投資家間で広がる可能性は高い。

店舗販売がオンライン・ショッピングのセールやディスカウント販売に押されている近年、高級ブランドといえども苦戦が続くことは疑う余地がなさそうだ。対応策としてデジタルチャンネルを経由した顧客獲得に力をいれるメーカーも少なくはない。

バーバリーやシャネルは中国の巨大メッセンジャーアプリ「WeChat(微信)」と提携し、ファッション界の情報を発信するなど、新たな顧客層の開拓を試みている。(アレン琴子、英国在住フリーランスライター)

最終更新:4/27(木) 6:10
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