ここから本文です

「欠陥商品」急増、保険請求額5年で1兆円ーー電気毛布の過熱で感電、濡れた床で転倒など

4/27(木) 6:40配信

ZUU online

世界100カ国以上の国際賠償責任保険傾向を調査したレポート から、年々賠償金の請求額が膨張し、過去5年で88億5000万ユーロ(約1兆581億円)に達していることなどが判明した。

1億円以上の大型損害賠償が支払総額の7割を占めているため、平均的な請求金額は約1059万円と高額だ。

■請求件数の8割は239万円以下の小・中型

この調査はアリアンツ・グローバル・コーポレートが、2011年から2016年にかけて各国の保険会社によせられた1万件以上の損害賠償請求を分析したものだ。

賠償金の支払額は請求対象によって著しく差があり、リスク・ランドスケープ(リスクの展望図)の特質を反映している。総体的に請求金額が2万ユーロ(約239万円)以下の小型・中型請求が80%を占めるが、支払総額の割合はわずか3%である。

対する100万ユーロ(約1億1931万円)以上の大口請求は過去5年間で754件と件数的には1%にも満たないが、支払総額の74%にものぼる。そのため総体的な平均的な請求金額(8万8408ユーロ/約1059万円)と、中央値(2712ユーロ/約32万円)に大幅な差異がでている。

■4分の1が「欠陥商品・サービス」に関する損害賠償

最も多い請求対象は欠陥商品・サービスで、全体の4分の1以上(23%)を占めている。電気毛布の過熱による感電事故からガスタンクの設計ミスが引き起こした車の爆発まで、過去5年間で80%増えている。

次いで多いのは車や飛行機を含む乗り物の接触・衝突事故(22%)。人間のミスによる責任過失も多く(19%)、従業員が開いた不正ファイルが原因のウィルス感染、間違った種類の燃料補給による乗り物の故障・事故など。

「レストランの床が濡れていて客が転倒、負傷した」「航空機からの落下物で従業員が負傷した」といった、転倒・落下関連の請求も40%増えている。

■保険会社の新たな課題「自動運転車による事故」

損害保険請求が膨張した背景には、国際発展による事業の多様化などがあるようだ。自動車関連の損害請求に関しては、カー・シェアリング(自動車共有)や自動運転車などが主流になるにつれ、徐々に減っていくと予想されている。

しかしそれと同時に、損害保険の構造がより複雑化する可能性が高い。例えば自動運転車によるカー・シェアリングが事故を起こした場合、自動車メーカー、ソフト開発企業、シェアリング・サービス企業が関与してくるほか、接触や人身事故であればサード・パーティーの介入も予期される。

ビジネス自体が複雑化している近年、保険会社にはあらゆる事態に幅広く対応できる知識が必要不可欠となるはずだ。

■鹿、トコジラミ、モモンガなどの被害も

地域によって請求傾向が異なるという点が興味深い。アジア圏の三大請求原因が「接触・衝突事故(48%)」「自然災害(18%)」「突発的な事故(13%)」であるのに対し、オーストラリアおよびニュージーランドでは「人間のミス(94%)」「欠陥商品(2%)」「転落・落下(1%未満)」と極端にかたよっている。

損害保証範囲が常に日常的に予期できる過失とはかぎらない。実は動物に関連する賠償請求も総件数の2%におよぶ。最も多いのは鹿による損害で、特に米国では毎年10月から11月にかけて多発するという。過去5年間の賠償請求件数は1000件を超え、平均4000ユーロ(約48万円)が支払われている。

書いているだけでむずかゆくなりそうだが、トコジラミ(397件)や昆虫(147件)による賠償請求も多い。ニューヨークのホテルでは、2014年、2015年とトコジラミの被害報告が40%も増したそうだ。変わった苦情の中では「モモンガにホテルの部屋を占領された」「補聴器をねずみにかじられた」「くじゃくにおそわれた」というものもある。

保険会社にとっても消費者にとっても、「災難はいつ、どんな形でふりかかってくるかわからない」という骨身に染みる例だ。(アレン琴子、英国在住フリーランスライター)

最終更新:4/27(木) 6:40
ZUU online