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「海外不動産投資」次の主要ブームはどこ? 過去の歴史を振り返る

4/27(木) 19:40配信

ZUU online

日本人が海外不動産に投資することは近年では一般的になってきた。だが、その歴史はまだ浅く、本格的な日本人による海外不動産投資の流れは中国の不動産価格が上昇を始めた2000年代以降からとなる。

歴史と言ってもまだ20年にも満たない期間の中で、海外不動産投資のブームは、中国、マレーシア、フィリピン、タイ(シラチャ)、ベトナムと、目まぐるしく移り変わっている。それぞれの国にブームが訪れた原因とその後の状況を知ることで、今、そして次に投資するべき国について考えていきたい。

■中国不動産の価格が上昇(2003年頃~)

日本における本格的な海外不動産投資の流れを作ったのが、中国不動産の価格上昇だ。2000年代の上昇タイミングで投資を行った投資家の成功体験が、後の東南アジア不動産投資ブームの礎となった。

社会主義の中国では、住宅は国から国民へと現物支給されていた。1998年に中国政府が現物支給を停止したことにより、住宅価格は市場メカニズムにより決定されることになった。中国において不動産価格が本格的に上昇したのは、2003年頃からだ。人口ボーナス期を迎えた高い経済成長により、資産インフレが起きたのだ。

不動産価格は2000年から比較すると約10年間の間に2倍以上に上昇した。さらには、2005年には中国通貨の人民元が固定相場制から管理変動相場制へと移行したため、海外からの投資家には為替メリットも発生したため、日本でも多くの投資家が利益を得た。「投資した不動産を2倍で売却した」「投資額が3倍になった」という話をその当時の中国不動産に投資していた多くの投資家から今も聞かされる。

中国不動産は今でこそバブルがもうすぐ崩壊するのではないか、などと言われているが、2000年代に中国不動産を購入した投資家のほとんどは利益を得た。この成功体験が、後の東南アジア投資ブームの要因となる。

■マレーシア不動産投資ブーム(2010年頃~)

2010年頃になると、日本では東南アジアの不動産投資セミナーが活発に行われるようになった。1回のセミナーに200人以上が参加するようなこともあり、業界関係者によると、同じような告知を行ってもセミナーへの参加者は現在よりも多かったようだ。

中でも特に人気が高かった国がマレーシアだ。中国不動産を購入した日本人投資家の成功体験が伝わっていたこともあり、人口ボーナス期を迎えて経済成長が期待できる国の不動産を購入すれば中国と同様に大きな価格上昇が起きると投資家は考えたのだ。

2008年のリーマンショックにより日本を含めた先進国の不動産に対する不安感が生まれていたことも、国内不動産投資家の目を海外に向ける大きな要因となった。そのような絶好のタイミングで、ジョホールバルの壮大な開発計画が投資家の心を躍らせた。

不動産価格も1000万円前後と手頃で現地の銀行の融資も受けられたため、多くの投資家がマレーシアの不動産を購入した。だが、世界中の投資家がマレーシア不動産を購入したため、不動産価格が上昇し、マレーシア国民が購入できないという状況になってしまった。そのため、2014年にマレーシア政府は100万リンギット(約3000万円)以上の不動産でないと外国人は購入できないとする投資規制を実施した。これにより、マレーシア不動産投資ブームは終わりを迎えることとなった。

■フィリピン不動産投資ブーム(2014年頃~)

マレーシアの不動産投資規制により、1000万円前後で購入が可能で、経済成長によるキャピタルゲインが期待できる国として入れ替わるようにフィリピンが一気に注目を集めた。

ちょうど人口ボーナス期を迎えたフィリピンは、中国やマレーシアと国の状況が似ていたため、投資家の理解も早かった。フィリピン不動産を扱っている不動産業者は、マレーシアの不動産投資規制が入る前と後でセミナーへの参加者は5倍近く増加したと言う。

フィリピン不動産は投資家の間で今でも人気だが、2014年当時ほどの人気はなくなっている。その原因は、住宅供給量が多すぎるのではないかという懸念だ。海外からの投資が好調なこともあり、1000万円程度の価格のコンドミニアムが一斉に建設されたのだ。

マレーシアと同様に一般的な所得の国民はまだこの価格帯の不動産には住めないため、賃貸が思うように付かない状態が起きている。長い目で見れば経済成長によるキャピタルゲインの期待は大きいのだが、現状ではマレーシア、フィリピンの物件を購入した投資家は賃貸収入を得ることに苦労しており、売却への不安も抱えている。

このような状況から、日本の海外不動産投資家は国の経済成長だけでなく、エリア毎の不動産の供給量や、ターゲットを考えることが重要だと考えるようになった。

■タイ・シラチャ不動産投資ブーム(2015年頃~)

2015年になると、タイのシラチャエリアへの不動産投資が注目を集めた。タイは首都のバンコクやリゾートのパタヤなどが有名だが、あまり馴染みのなかったエリアだ。

シラチャでは1990年代から日系の工場の進出が盛んになり、日本人駐在員が一気に増加した。そのため、街には日本語の看板が目立つようになり、日系駐在員のマーケットが誕生したのだ。だが、駐在員が急速に増えたため、日本人が住むようなクオリティの高い住宅が不足する事態になってしまった。

そのため賃料が高騰し、コンドミニアムの想定利回りは10%を超えるような状況となった。この特殊な状況が、不動産投資先として大人気となった。

■不動産投資の主要テーマは「経済成長」から「供給量」へ

シラチャへの投資ブームにより、海外不動産投資における主要テーマは「経済成長」から「不動産供給量」へと変化しつつある。

今後の海外不動産投資のテーマは、シラチャの不動産を購入した投資家が当初想定していたような高利回りを得ることが出来るのかによって大きく変わっていくことだろう。

2015年頃に販売していたシラチャのコンドミニアムは完成してきているので、今年はその結果が見えてくるだろう。また、2015年7月より外国人の投資が解禁となったベトナム不動産もブームの様相を呈している。解禁直後の投資で成功者が多く出れば、テーマは「先行者メリット」ということになるだろうか。

現在、海外不動産投資の主要テーマは「経済成長」「不動産供給量」「先行者メリット」この3つの間で大きく揺れ動いている。鍵を握るのは、今年見えてくるシラチャ不動産の成否となるだろう。

菅原 優 不動産投資ジャーナリスト
大手不動産ポータルサイトにて、新築マンション、不動産投資サイトの運営を行う。メディア出身者として、実データや業界関係者の声をもとに、投資家の求めるポイントを絞った情報を発信している。

最終更新:4/27(木) 19:40
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