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森友学園問題とは何か~教育界に迫る戦前回帰と右翼運動(下) 新聞うずみ火

4/28(金) 8:02配信

アジアプレス・ネットワーク

森友学園問題とは何か。それは一学校法人への国有地売却や学校認可に政治家の介入があったか否かという問題に留まらない。この問題は、森友学園のような「戦前回帰的な教育」を、国の中枢を成す勢力が支援していることにある。たとえ森友学園が消え去っても、教育界では着々とこうした動きが推し進められていることを私たちは知るべきである。(矢野 宏/新聞うずみ火)

◆安倍‐松井体制の「教育改革」

『日本会議とは何か「憲法改正」に突き進むカルト集団』(合同出版)の著書がある「日本の戦争責任資料センター」事務局長の上杉聰さんは、森友問題について「安倍首相らの自民党右派と松井一郎大阪府知事率いる維新による『安倍―松井体制』の下で、籠池氏がいいようにやってきた。それが一気に暴露された」と見る。

「教科書のレベルでは、15年ほど前から日本会議を媒介にして歴史修正主義的な流れが進んでいますが、安倍―松井体制発足後、彼らが実現しようとする範囲が広がり、学校建設をやるまでにいたったということです」

2012年2月26日、「日本教育再生機構大阪」が主催した「教育再生民間タウンミ―ティングin大阪」で、当時野党だった自民党の安倍氏と松井知事が対談、二人は教育改革で意気投合したという。

二人を結びつけた日本教育再生機構は06年、「新しい歴史教科書をつくる会」から分かれて発足した団体で、愛国心教育を徹底し、歴史修正主義的な「育鵬社」発行の教科書採用を勧めている。

育鵬社の歴史教科書は、「神話に見るわが国誕生の物語」で始まり、侵略・植民地支配の加害に触れていない。公民の教科書は、「日本の役割」の項目で「世界の中の大国である日本は、これからもすぐれた国民性を発揮して…」と賛美し、安倍首相の写真が十数枚も使われている。八木秀次理事長ら顧問は日本会議の幹部でもあり、組織・運動面でも密接な関係にある。大阪支部には籠池氏もかかわっており、八木氏も塚本幼稚園で講演したことがある。森友学園の教育方針は、安倍首相や松井知事ら維新、日本会議、日本教育再生機構と極めて近い関係にある。

日本会議が教育に力を入れる理由について、上杉さんは「右翼の人材不足」を挙げる。

「私学の中高一貫教育を通じ、右翼人材を純粋培養してきた。日本会議も年寄りばかりで、旧憲法のように改憲しても実践する若い実働部隊がいないわけです。戦前、教育が軍隊を支えてきたように、改憲後の社会の担い手は教育でしかつくれない。教育勅語は『いざ事が起きた時は国のため、天皇のために命を投げ出しなさい』と教え、軍国主義を支えました。日本会議系の教育は、天皇と国家に命をささげる皇国臣民になれというものです。そんな教育を支持し、持ち上げたのが安倍首相夫妻であり、日本会議の面々です」

森友問題で露呈した「戦前回帰教育」の流れを止めるにはどうしたらいいのか。上杉さんは、「安倍―松井体制は大きいように見えるが、急ごしらえの勢力で、いわばカルト集団。その感覚のずれを批判することが大事です。日本会議とは何かに気づき、把握することが出発点だと思います」と話す。

来年度から小学校で道徳が正式な教科となるが、3月24日に検定結果が発表された。「子どもたちに渡すな! あぶない教科書大阪の会」の相可文代さんは「森友問題と教科書問題の本質は同じ」と指摘する。

「小学校には育鵬社の道徳教科書はありませんが、学習指導要領が改悪されているので、教科書全体で愛国心や伝統文化が強調されています。検定意見によってパン屋の話を和菓子屋に修正したのもその一例で、政権の意向を忖度する教科書会社は少なくありません。本番は来年の中学校の道徳教科書の採択の年。育鵬社や自由社の教科書を絶対に阻止しなければなりません」

安倍政権の「教育改革」はさらに続く。3月31日に告示した「新学習指導要領」で、中学の保健体育の必修武道に銃剣道を追加した。戦前の学校の軍事教練に採用されていた銃剣道の復活である。また、幼稚園に続き、保育所でも「国旗・国歌に親しむ」ことを盛り込んだ「保育所保育指針」改定案をまとめた。こうした流れを受け、相可さんは警鐘を鳴らす。

「籠池氏が断念した小学校建設の『旗』を誰かが掲げる日も近いのではないでしょうか。今度はうまくやるでしょうね」
(終わり)