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医者の「権威の象徴」は墜ちたのか? ある専門書が見据える未来

4/28(金) 12:20配信

BuzzFeed Japan

医学教育において「成書」と呼ばれる重厚な専門書が「売れなくなっている」という現場の声がある。出版不況が叫ばれる中、固定の需要が見込めるため「最後の砦」と目されていた医学書に、何が起きているのか。【朽木誠一郎 / BuzzFeed Japan】

「権威の象徴」だったハリソン内科学

「医者になるんだから、ハリソンくらい読んでおけよ」--筆者が医学部に在学していた頃、そんなことを先輩の医師に言われたことがある。

通称ハリソン、正式には『ハリソン内科学』という医学の専門書のことは、医学教育を受けた者であれば誰でも知っているだろう。同じようなことを言われた経験がある医学生もいるはずだ。

医学生にとって、ハリソンは医者という権威の象徴だった。

何しろ厚い。そして重い。値段も高く、字も細かい。こんなものを読みこなすのは、さぞ優秀な人なのだろうな、と思った記憶がある。

というのも、大学の試験は対策プリントで通る。国家試験は予備校の現役生向けビデオ講義と問題集がある。ハリソンを読むのは、医学生にとっては+α。まさに「読んでおけよ」というくらいの必要度だった。

だから、初めてハリソンの公式Twitterアカウントを見たときは驚いた。何しろ、ダジャレだ。それも、かなりしょうもない部類の。

“あさ五版いただきます![月曜日] #朝ご飯 #ハリソン内科学”(出典:ハリソン内科学【公式】5版ですよ @HarrisonsPIMbot)

言うまでもないが、「5版」と「ごはん」をかけている。「権威の象徴」に、何が起きてしまったのか。

実際に、ネット上では概ね好意的に受け止められていたものの、「ハリソンがこんなことをするなんて……」と、批判的な人もいた。

筆者はTwitterアカウント「ハリソン内科学【公式】5版ですよ 」の中の人に、「ダジャレ」でPRした真意を取材した。そこでわかったのは「難しい本が売れない」現状だった。

出版不況が叫ばれる中、医学書のような専門書は固定の需要が見込めるため、「最後の砦」と目されている。

そこで、ハリソン内科学の出版社である株式会社メディカルサイエンスインターナショナル(MEDSi)を訪問。あらためて、専門書のこれまでとこれからについて聞いた。

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最終更新:4/28(金) 12:20
BuzzFeed Japan