ここから本文です

IoTの競争軸、ハードから「アプリ」に 電機各社で開発競争が激化

4/28(金) 18:07配信

日刊工業新聞電子版

職人の知見組み込む

 IoT技術の普及に伴い、IoT用アプリケーションの開発が新たな競争軸になっている。独シーメンスや日立製作所など電機メーカーはオープンイノベーションを通じて多様なアプリを創出しており、各社はアプリの機能や品質で競い始めた。ドイツや米国、日本などの大手製造業を中心に産業革新を起こす気運が高まる中、職人の知見を組み込んだ分析用アプリなど高度な技術が生まれている。

 「IoTプラットフォームを土台とするならば、IoTのアプリは商品のようなもの」。IoTプラットフォーム「マインドスフィア」の導入を進めるシーメンスの担当者は「ハノーバー・メッセ」でこう語る。振動や熱変化などを分析するアプリは代表的なものだけでも、すでに50個以上を取りそろえた。構想レベルを含めたアプリは10倍ほどあり、きめ細かくニーズに応えようとしている。

 日立はIoTの活用事例から知見を抽出して「ユースケース」という雛型(ひながた)として収集している。すでに200件以上のユースケースを公開しており、IoTプラットフォーム「ルマーダ」での利用を喚起している。今後は「汎用性が高い『ソリューションコア』と呼ぶアプリに仕上げていく段階に入る」(小島啓二執行役専務)と構想を説明する。

 アプリの開発はアイデアが命。企業の規模や業種にとらわれず、多様な企業がオープンイノベーションを通じて参画する。日立では「ユースケースを一つ生み出すためにITベンダーなど5―6社が関わっている」(小島執行役専務)という。

 シーメンスは100を超えるパートナーと協業。IoT事業に力を注ぐ三菱電機も日本オラクルなど大手から中小企業まで200―300社で開発する。三菱電機の藤島光城開発部規格標準化推進グループマネージャーは「単独ではできなかった」と打ち明ける。国や業界の垣根を越えてアプリを開発し、その成果が出ている。

分析結果の“意味”、理解に限界

 アプリ開発業者がシーメンスや三菱電機に持ち込むことも可能だ。アプリのみの提供は増加傾向にあり、今後は電子商取引(EC)などで酷似したアプリが並ぶ可能性も出てきた。シーメンス幹部の島田太郎氏は「酷似した場合は自由競争。優良なアプリが生き残るだろう」と分析する。例えば、類似した熱感知分析用アプリがいくつかあっても、分析の精度や使いやすさなど機能面に違いがあり、淘汰(とうた)されるアプリも出てくる。

 各社の開発で焦点になるのは、それだけではない。カスタマイズ性も差異化できるポイントになる。日本オラクルの井上憲営業本部担当マネージャーは「データを吸い上げてITで分析することは可能だが、それがどんな結果を意味するのか我々だけでは分からない」と課題を語る。ここに次の付加価値がある。汎用的なアプリのほかに、顧客専用のアプリをどう開発するか。IoTのアプリ開発は次のステージに入った。