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世界一マズい飴「サルミアッキ」に合う飲み物を探す

アスキー 4/29(土) 17:00配信

サルミアッキはフィンランドの飴です。世界一マズい飴と言われます。しかしスイーツにはおいしい飲み物がつきものです。だから飲み物で変わるのではないかと。

「世界一マズい飴」にだって、合う飲み物はあるはず
 フィンランドに「サルミアッキ(Salmiakki)」という飴があります。
 
 生薬として知られる甘草リコリスをベースに、せきどめに使われる塩化アンモニウム(SAL AMMONIAC)を配合した闇のキャンディーです。
 
 味は……なんていうのかな。ゴムタイヤを塩水で煮詰めて、よせばいいのにそこに甘みをぶち込んだ味といえばいいのか。本当にご無体な言い方をするとマズいです。「世界一マズい飴」などと呼ぶ人もいます。
 
 筆者も食べたことがありまして、100点満点でいうとマイナス6万5536点といったところ。どう取りつくろおうとしても「マズい」という感想しか出てこないシロモノでした。
 
 この暗黒飴、一応、フィンランド名物的な扱いになっている。現地の人たちも「コンナマズイモノダレモクワヘンヤロwwwww」と考えているかと思いきや、普通に食べているのだそう。
 
 かつてフィンランドを取材した盛田さんによれば「フィンランドでは大人気。スーパーでは1つのレーンまるごとサルミアッキ、品ぞろえも価格帯もバリエーション豊富、大人も子どもも、おねーさんも、みんな大好きサルミアッキという状態だ」(該当記事)。
 
 フィンランドの人たちは……その……非常に言いにくいのですが、どうかしているのでは……いやこの書き方も失礼なのですが……。
 
 僕はフィンランドが嫌いではありません。シベリウスの交響曲も好きですし、イッタラのランプも部屋にありますし、ムーミンの本も何度も読みましたし、ノキアの端末にもあこがれていました。全体的に薄っぺらいアピールで申し訳ないですが、とにかく私怨など一切ない。しかし、サルミアッキだけは……。
 
 こんなにフィンランドが好きなのにサルミアッキが好きになれないわけがない、俺のフィンランドがこんなにまずいわけがない……。ここで筆者、ハッとひらめきました。スイーツにはおいしい飲み物がつきものです。だから、サルミアッキも飲み物で化けるのではないかと。
 
 さっそく用意したのは、緑茶、コーヒー、レモンティー、オレンジジュース、コーラ、炭酸水、ビタミン系炭酸飲料、エナジードリンクです。思いつくままに揃えたので、多少の偏りがある点はご容赦いただければと。
 
 ちなみにアルコール飲料が入っていないのは、筆者が酒に弱いので、正確な比較ができなくなるおそれがあるからです。アスキーのグルメ担当・ナベコさんあたりが挑戦してくれればと思いますが、その気は微塵もなさそうでした。
 
 ルールは簡単です。両方を口に入れて、サルミアッキとのマリアージュがもっともすぐれているのはどれかを決めるだけです。
 
 決まったところでどうなんだと言われると困ってしまいますが、少なくとも、サルミアッキなる暗黒物質に対するアプローチの糸口がつかめるだけでも、人類史上における大きな発見になるのではないでしょうか。
 
緑茶――わびさびなど通用しなかった
 まずは緑茶です。日本人にとってはスタンダードでなじみ深い飲料ですし、ここ最近ではアメリカのシリコンバレーなどでも人気だといいます。お茶菓子、お茶請けという言葉もあるくらいですから、お茶はお菓子に合うわけです(強引な理論)。和の力で北欧の暗黒を打ち倒せるでしょうか。
 
 はっきり言ってテンションは上がらないですが、サルミアッキを食べます。やっぱりマズいです。どうしようもない。しばらくなめたり噛んだりすると「ウエーッ!」となってきますので、ここで口の中に飲料を入れます。うまくいけば地獄を回避できますが、うまくいかなければ地獄です。
 
 残念ながらダメでした。こう書くと緑茶が悪いのかと思われそうですが、そうではなく、サルミアッキの味が強すぎるのです。緑茶の味わいや香りが一瞬で無に帰します。すべてはサルミアッキの暗黒に飲み込まれます。こればかりはどうしようもありません。
 
 幸先が悪いですが、こんな調子でどんどん続けていきます。飲料を変えて、あと7回繰り返します。どうにも天国が見えてきそうにないのが悲しいですが、そういう企画です。筆者としてはもうやる気がゼロに近いものの、やらないと終わらないもので。
 
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緑茶 評価:△
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コーヒー――ある意味、一発で目が覚める
 続いてはコーヒーです。ケーキ、ドーナツ、チョコレートなど、スイーツに合わせる定番の飲み物です。だから、サルミアッキにも、きっと……。
 
 しかもフィンランドの人は、平均で一人当たり、一日に4~5杯のコーヒーを毎日飲むというデータもあるそうです。すなわちコーヒー大国なのです。これは期待できる。ブラックコーヒーやカフェオレもあるのですが、今回は比較的手に入りやすい缶コーヒーの微糖を選びました。
 
 しかし、大爆死もいいところ。とにかくダメでした。コーヒーの苦味と、缶コーヒー特有の甘さがサルミアッキと混じり合い、口の中で大混乱が起きます。味覚を伝える神経も完全にパニック状態。思わず吐き出しそうになりました。なんとか気合で飲み込みましたが、本当に救われない。
 
 この調子では、おそらくカフェオレ系もいけないでしょう。ブラックコーヒーは苦味でサルミアッキの味を消してくれるかもしれませんが、甘みが染み出た瞬間に口の中が大パニックになることは必至。混ぜるな危険とはまさにこのことです。ダメ、ゼッタイ。
 
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コーヒー 評価:×
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レモンティー――さわやかすぎるのかもしれない
 続いては紅茶です。コーヒーと同じく飲み方が人によって分かれるところですが、筆者の独断で、サルミアッキの苦しみからもっとも解放してくれそうなレモンティーを選びました。レモンティーでダメならストレートでもダメでしょう。ミルクティーは、微糖の缶コーヒーが完全にアウトだったので敬遠したほうがよいかと思われます。
 
 しかし、やっぱりダメでした。サルミアッキ特有の「不思議なしょっぱさ」「食べものとは思えないゴム感」「でもむちゃくちゃ甘い」という理不尽なトライアタックを多少和らげてくれるものの、すぐに圧倒されてしまう。
 
 緑茶と同じで、始めこそ茶葉の香りでごまかせるかなと思わせて、すぐに「無理だ」となるわけです。これはレモンティーを責められない。責めるならサルミアッキのほうです。
 
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レモンティー 評価:△
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オレンジジュース――フレッシュな果実感がよい感じ
 果物系ならなんとかなると考え、数あるジュースの中で、一番さわやかそうなオレンジジュースを選びました。もうこの時点でサルミアッキを3個もたいらげているわけで、本当につらくなっています。しかしながら筆者が自分で選んだ道なので、誰も同情してはくれません。自業自得もいいところです。
 
 しかし、オレンジジュースが意外に健闘してくれました。どうやら柑橘系の香りと強い甘さが、エグみを打ち消してくれるようです。サルミアッキを噛むと、ゴムの中から煮詰めた蜜がとろけるような拷問タイムが始まるのですが、それもオレンジの味でかなり中和してくれる。だいぶマシになるわけです。
 
 そもそもマリアージュを楽しみたいという建前があったのに、「マシになる」とはどういうことかといった感じもありますが、それはそれです。オレンジジュース、なかなか優秀です。
 
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オレンジジュース 評価:○
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 さて、次ページからは(よせばいいのに)炭酸飲料に移っていきます。ところが、筆者も心から驚いた、意外な結論が待っていました。
 
コカ・コーラ――まさかの大勝利
 さて、炭酸飲料にフィールドが移ります。別にフィールドを積極的に移したいわけでもなく、身もフタもないことを言うと早くやめたいのですが、用意してしまったものはやりきるしかありません。
 
 ちなみにサルミアッキは全部食べています(飲み物は1日かけて全部飲みました)。当たり前ですが、しんどいです。もうちょっとおいしいものをテーマにしなかった自分を恨んでいますが、後の祭りです。
 
 まずは炭酸飲料の代表格、コカ・コーラです。コカ・コーラの風味はトップシークレットの香料「7x」と柑橘系およびスパイス系のフレーバー7~8種類ほどの配合によるものと言われています。アメリカ大企業の機密は北欧の悪魔を打ち倒せるでしょうか。
 
 おそらく、本記事最大のサプライズ。コカ・コーラを一緒に食べると、サルミアッキのイヤな味が消えるのです。「イヤな味」と言い切るのは我ながらひどい気もしますが……とにかく、コーラの独特の香り、強い甘み、炭酸の刺激。すべてがサルミアッキを少しだけ上回る。
 
 これには驚かされました。さすがアメリカは強い、メイクアメリカグレートアゲイン、資本主義万歳といったところでしょうか。人類はコカ・コーラによってサルミアッキを打ち倒せるのです。繰り返しますが、本当に、驚かされました。
 
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コカ・コーラ 評価:◎
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炭酸水――飲んだら最後
 炭酸飲料でサルミアッキに勝てることがわかり、筆者のテンションもだいぶ持ち直してきました。人間というのは愚かな生き物で、危機に立たされているときは戦々恐々としていても、いざ自分が安全圏にいるとわかると、途端に攻撃的になるものです。
 
 そんな甘い人間の目論見をサルミアッキ with T(炭酸水)がぶち壊してくれました。マズいです。破格のマズさ。水のせいでサルミアッキの風味が口の中に広がり、炭酸の刺激がケミカル分を後押しします。
 
 起きてはいけないことが起きてしまいました。これは絶対にダメです。まったく推奨できません。反対に、「アタシ、サルミアッキで口の中をどったんばったん大騒ぎにしたい」というフレンズなら試していいかもしれません。何の保証もないですし、する気もありませんが。
 
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炭酸水 評価:×
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ライフガード――お口の中が工業地帯や~
 炭酸飲料でもう一つ、チェリオの「ライフガード」を追加してみることにしました。コカ・コーラだけでは、「甘い炭酸飲料ならなんでも正義」なのか「コカ・コーラが際立って正義」なのかわかりません。あえてちょっとケミカルな本製品で比べてみます。
 
 あとはまあ、ゲン担ぎというか、本気で筆者のライフをガードしてほしいという神頼みもないではない。
 
 ただ、これはどうもダメでした。ライフガードのケミカルな風味と、サルミアッキの科学的な風味がグシャグシャに混ざりあい、口の中が重工業地帯になります。逆説的に、コカ・コーラの香料と強い甘さがいかにサルミアッキに強かったがわかります。あれが奇跡だっただけで、炭酸飲料ならなんでもよい、というわけではなさそうです。
 
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ライフガード 評価:△
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レッドブル――翼がまったく授からない
 最後はエナジードリンクの大御所であるレッドブル。まあ実際問題、コカ・コーラがセーフでライフガードがアウトだったために、勝敗は火を見るよりも明らかなのですが……一応やります。
 
 結果は案の定、大敗です。レッドブルはエナドリの中でも飲みやすい方で、甘さもそれほど強くはない。したがって、サルミアッキに勝てるわけがない。これではまったく翼を授かることができない。それどころか、エナジーが根こそぎ持っていかれたような感覚に陥りました。
 
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レッドブル 評価:△
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サルミアッキの味が強すぎる
 そんなこんなで8種類の飲料とサルミアッキの相性を見てきました。表にまとめてみます。
 
飲料
評価
備考
緑茶

効き目なし
コーヒー
×
砂糖、ミルク入りは危険
レモンティー

同上
オレンジジュース

果物の香りが強いものがいい
コカ・コーラ

ベスト
炭酸水
×
ワースト
ライフガード

ケミカルな味は合わない
レッドブル

対抗するには甘さが弱い
 結果から言うと、コカ・コーラが最強。あのサルミアッキの極悪テイストを、かなりマスキングしてくれます。どうしてもサルミアッキを食べないといけない、でもあの味は耐えられないというシチュエーションがあったとすれば、コカ・コーラに頼るといいでしょう。オレンジジュースも悪くはないですね。
 
 しかし、「サルミアッキに合わせると最高!」と心から思える飲料は見つかりませんでした。何がいけなかったのでしょうか。やはり味が強すぎる。どうしようもない。マリアージュもへったくれもありません。
 
 サルミアッキ、みなさんもゴールデンウィークにぜひ! と締めくくろうかと思いましたが、まったくそんな気分にはなれません。本当にキツかった。これ以上続けるとフィンランドが嫌いになりそうです。
 
 フィンランドには「カレワラ」という国民的な民族叙事詩があります。それによると、天地創造は以下のような物語になっています。ある日、大気の娘イルマタルは大海原に降り立ち、風に身ごもって、身重のまま700年も海をさまよいました。そこへカモが飛んできて、イルマタルの膝に舞い降り、6つの金色の卵と、1つのくろがねの卵を生みました。
 
 しかしカモが卵を温めていると、イルマタルはその熱さに耐えきれず、膝を動かしてしまいます。卵は転げ落ちて、下の部分は大地となり、上の部分は大空になりました。黄味の上の部分は太陽、白味の上の部分は月になりました。その他の部分は大空の星に。そして、黒いものは天空の雲となったそうです。
 
 筆者は思うのです。もしかしたら、このイルマタルの膝から転げ落ちた黒い卵は、実は雲になっただけではなく、フィンランドのサルミアッキともなって、その摩訶不思議な味で神話の世界を我々に垣間見せているのではないかと……。
 
 一応、フィンランド料理にはおいしいものもたくさんあるそうです。空気がおいしくて、白夜のシーズンは一日中ずっと日光浴ができて、ムーミンがいるフィンランド。大好きです。でも、サルミアッキに関してはもう知らない。絶対に許さない。それではまた。
 
 Fazer サルミアッキ SALMIAKKI 40g×5箱セットFazer
 
コジマ
 
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。ショートコラム「MCコジマのカルチャー編集後記」ASCII倶楽部で好評連載中!
 
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文● コジマ/ASCII

最終更新:5/16(火) 18:22

アスキー