ここから本文です

「1億円もらっても戻りたくない」壮絶な過去が呼んだ百瀬の五輪メダリスト撃破劇

スポーツ報知 4/29(土) 22:38配信

◆柔道・全日本選手権(29日、東京・日本武道館)

 3回戦では15年大会覇者で、昨夏のリオ五輪100キロ超級銀メダルの原沢久喜が、百瀬優に送り襟絞めで一本負けする波乱があった。

 試合開始から38秒。百瀬は原沢の内股をつぶすと、送り襟絞めで捉えた。「立ち技では勝ち目はない。寝技しかないと思っていた」。狙い通りのプランで完勝。昨年末、1度は現役を引退した百瀬にとって「奇跡」とも呼べる勝利だった。

 旭化成所属の百瀬は今年1月、同社から要望されコーチに就任。1度は現役を引退した。しかし今春に翻意し、今大会の予選に出場。妻に「予選だけ出させて欲しい」と懇願したが、見事に予選を突破し本戦の出場権を得た。だが、同社の所属選手を指導する時間に忙殺され「自分が練習する時間は全くなかった」という。

 練習どころか、他選手の研究すらまともにしていない。原沢戦に続く4回戦で敗れたものの、今大会3勝は胸を張れる成績だ。快進撃には理由がある。「高校、大学時代は本当によく練習しましたから」。国士舘高、国士舘大時代に行った猛稽古の「貯金」がものを言ったと胸を張った。

 「今まで1度も絞め落とされたことがない」と語る原沢を捉えた寝技は、高校時代に習得したもの。数か月練習から遠ざかっても、その技術はさび付ついていなかった。

 国士舘高出身の選手には「高校時代に戻りたい」と語るものも少なくない。だが百瀬は「先輩にも本当に良くしていただいたけど、高校時代には1億円をもらっても戻りたくない」という。百瀬にとっては、つらすぎた過去。だが流した汗はウソをつかなかった。国士舘高での貴重な3年間が、銀メダリスト撃破につながった。

最終更新:5/17(水) 3:40

スポーツ報知