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海きららイルカ繁殖に挑戦へ 2頭 GWでいったん見納め 追い込み漁批判 背景に

長崎新聞 4/29(土) 9:29配信

 長崎県佐世保市鹿子前町の九十九島水族館(海きらら)で人気のイルカが、ゴールデンウイーク(GW)後にいったん見られなくなる。2頭の雌は7月半ばまで大分県で初めての繁殖に挑戦。和歌山県太地町に伝わる追い込み漁での調達が国際的に批判を受ける中、今回の試みは水族館運営の方向性を決める試金石となる。

 イルカ漁をめぐっては世界動物園水族館協会が「残酷だ」と問題視し、2015年5月までに日本動物園水族館協会(JAZA)の会員資格を停止。JAZAは残留のため、追い込み漁で捕獲したイルカの購入を禁止した。ただ、海きららはJAZAに加入しておらず、これまでもすべて購入してきた。

 15年9月、飼育していた雌3頭のうち、1番人気だった1頭が死亡。2頭でショーを続けてきたものの、プログラム構成に限界があるとして、新たに1頭増やすことにした。従来通り購入することもできたが「繁殖」の道を選んだ。川久保晶博館長は「漁自体に反対するわけではないが、繁殖に対する注目は高まっている。イルカにチャンスを与えたいし、水族館としてのレベルアップにもつながる」と説明する。

 しかし、実現には高いハードルが待ち受ける。海きららには繁殖の環境が整っていないため、2頭は大分県津久見市の「つくみイルカ島」で2カ月にわたり雄と同居する。一般的な同居期間とされる6カ月に比べかなり短いが、繁殖時期や海きららの集客面を考慮せざるを得なかった。

 JAZAによると、国内100超の水族館のうち、約30施設が同じバンドウイルカの自然繁殖に取り組んでいる。毎年10~15頭が生まれるが、半数が1歳を待たずに死亡するという。飼育水槽が狭い海きららは、出産後うまく授乳できるかというリスクがあるという。

 自然繁殖が成功しなかった場合は、国内で数えるほどしか成功例がない人工授精を試す。失敗した場合は購入への路線変更が現実的になるという。繁殖への挑戦を続けるかどうかは今回の状況をみて判断する。自然繁殖、人工繁殖ともに成功例がある鴨川シーワールド(千葉県鴨川市)の勝俣浩館長は「欧米では繁殖が一般的だ。漁頼みだった国内の水族館が方針を見直す時期に来ている」と歓迎する。

 週2~3回のペースで通い続けているという佐世保市万徳町の主婦、前田加代子さん(65)は「しばらくの間、寂しくなる。2頭が無事に帰ってくることが一番だけど、かわいい赤ちゃんが生まれるなら楽しみが増える」と話した。

長崎新聞社

最終更新:4/29(土) 9:29

長崎新聞