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ニューヨークを愛する住民が「空き店舗マップ」を作った理由

4/29(土) 20:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

マンハッタンのソーホー地区を歩くと、高級なコーヒーショップやハイエンドな衣料品ブランドの店が並んでいる。しかし、ほぼすべてのブロックに「For Lease(テナント募集)」の看板があることに気づくだろう。

「Vacant New York」という新しいウェブサイトは、ニューヨークが抱えるこの空き店舗問題を浮き彫りにしている。同サイトは、フリーランスのソフトウエア開発者、ジャスティン・レビンソン(Justin Levinson)氏が2016年に開設、マンハッタンにある全ての空き店舗を網羅したインタラクティブマップを提供している。空きスペースは赤色で表示され、拡大表示してカーソルを地図の上にのせると、住所が表示される。 レビンソン氏のこのプロジェクトの目標は、集約されていなかったマンハッタンの空室問題を数量化し、そのデータを提供することだ。

「私が、パンクロック好きの10代だった頃、そして探究心旺盛な20代だった頃に訪れた店、ライブ会場、小汚いバー、安いレストランは、ほとんど全てなくなってしまいました。自宅周辺は廃れ始めていたのです」(レビンソン氏)。
レビンソン氏はデータを収集するため、仲介業者のウエブサイトを徹底的に調べあげ、一帯を歩いて回った。また、ユーザーに協力してもらい、マップを最新の状態に保つために、追加や修正すべき情報を教えてもらっている。登録された空き物件は合計で約1000件にも上る。なかには何年もテナントが入っていない物件もあった。

ニューヨークの空室率の高さには、1つの明確な原因があるわけではなく、レビンソン氏もそれを認識している。彼は、このような事態が発生した理由として、「商用賃貸期間の長さ」と「高額な賃料」の2つを挙げている。 ジャーナリストや不動産専門家も、この2つが原因で小規模店が経営を続けられない可能性があると指摘する。例えば、小さいレストランは平均10年の賃貸契約を交わすが、大型チェーン店などの契約期間は通常それより長い。ニューヨーク・タイムズとブルームバーグの報道によると、大家は収益を最大化するため、歴史の浅い小規模な店よりも、信用度が高く倒産する可能性の低い大規模なチェーン店のためにスペースを空けておくこともあるという。たとえ、数年間テナントが入らないことになろうとも、である。家族経営店舗の多くは、高騰する賃料を支払う余裕がなく、高級化した地区では特にそれが顕著になっている。

「私が全国チェーンによるニューヨークの(街並みの)均一化をどれほど嘆こうと、『チェーン店は、景気後退を食い止めるだけでなく、雇用を創出し、安価な商品やサービスを提供してくれる』という意見は消えないでしょう。それでも私は、その考えは間違っていると思います。空き店舗は誰にも価値を提供しません」 (レビンソン氏)

「地域のグループや政策立案者たちにこのマップを使ってもらい、今の状況が変わることを望んでいます。スモールビジネスにスペースを貸したり、老舗を観光名所にするなど、小さな店舗を優遇する家主に対してインセンティブを与えるような変化が起こることを期待しています」

またレビンソン氏は、空き店舗問題の解決にすぐ着手しなければ、手に負えなくなる可能性があるという。

「これはもはや大家とテナントの問題ではなく、都市全体の景観にかかわる問題です」

source:ニューヨーク・タイムズ、ブルームバーグ、THE REAL DEAL、EATER、Vacant New York

[原文:Here are the hundreds of storefronts that are sitting empty in New York City]

(翻訳:Wizr)

最終更新:4/29(土) 20:10
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