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空間認識能力、電流で向上 金大・菊知教授、後頭部から脳を「マッサージ」

4/29(土) 1:20配信

北國新聞社

 人間の後頭部に弱い電流を流すと、脳のある部位が活性化し、体の動きをイメージする空間認識能力が高まることを、金大子どものこころの発達研究センターの菊知充教授らが明らかにした。脳を電気で「マッサージ」するような手法で、安全性が高く、脳卒中後のリハビリに取り組む人の早期回復や認知症などの治療へ、応用が期待される。

 研究は金大と浜松医大が共同で行い、成果はスイスの科学雑誌「人体神経科学の最前線」のオンライン版に掲載された。

 頭の表面に電極を取り付け、本人が感じられない程度の1~2ミリアンペアの電流を流して脳を活性化する研究は近年、世界的に注目が高まっている。

 菊知教授のグループはまず、脳のどの部位が、体の動きを想像する「身体イメージ操作能力」をつかさどっているか特定するため、脳のさまざまな部位に障害のある認知症患者ら100人を対象に、がん検査で使う陽電子放射断層撮影(PET)を実施した。

 その結果、後頭部の「外側後頭側頭皮質」と呼ばれる部位の活動が低下すると、身体イメージ操作能力が下がることが分かった。

 次に健常者を対象に、この部位に電流を流して刺激を与え、身体イメージ操作能力がどう変化するか測定した。電流を流した20人は、流さなかった20人に比べ、テストの正答率が6・7%高くなった。その他の能力は、二つのグループで差がみられなかった。

 これらの結果から菊知教授は、外側後頭側頭皮質が身体イメージ操作能力をつかさどっており、この部位を電流で刺激することで、能力を向上させられると結論づけた。

 今後、患者を対象とした臨床試験で効果が実証されれば、リハビリや認知症治療など、さまざまな応用の可能性が広がる。菊知教授は「効果が大きいわけではないが安全な手法であり、将来、医療現場の新たな選択肢となればいい」と話した。

北國新聞社

最終更新:4/29(土) 1:20
北國新聞社