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「けん玉ブーム」は止まらない 教室は人気殺到、カッコイイ動画が拡散

4/30(日) 19:00配信

福井新聞ONLINE

 昔遊びの「けん玉」が見慣れた現在の形になって100年。今、世界的なブームになっているらしい。福井県内はどうなのか。けん玉に熱中する子どもたちや、従来では考えられなかった斬新なトリック(技)を操る若者たちを訪ねた。

【動画あり】ストリートけん玉の「シンクロ」

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 「イチ、ニ、サンでリズムよく」「玉を受けるときに『すーっ、すーっ』と膝を曲げて」-。

 日本けん玉協会普及員の仁科章さん(70)=福井市=が子どもたちに優しくアドバイスを送る。同市の県立こども歴史文化館では、伝統的な昔遊びに理解を深めてもらうため、4年前から「けん玉名人をめざそう!」と題した教室が毎月開かれている。20人限定の初心者コースは、定員オーバーが続く人気ぶりという。

 後半は、協会が上達度を測る目安として作った「級・段位認定表」に沿って、決められた技をマスターした参加者のカードにはんこを押していく。「技に挑戦し、成し遂げる達成感、楽しさを知ってほしい」と仁科さんは語る。

 大皿から小皿、中皿へと玉を乗せていき、最後はけん先に玉を入れる連続技「日本一周」を決めると、「できたよ」と初対面の人にも思わず報告する子もいるという。小学2年の佐々木稜太君(7)は「技が成功するとうれしい。にこっと笑顔になる」と屈託がない。

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 一方、BMXやスケートボードといったストリートカルチャー愛好家の間で世界的に流行しているとされる「ストリートけん玉」。県内でも親しむ人が増えているようだ。

 ひもを指でつかんで、玉とけんをくるくる回したり、玉をリフティングしてからけん先に差したりする、トリッキーな技の数々。アメリカのプロスキーヤーがけん玉に夢中になり、海外で大流行し“近代化”したのが始まりという。

 「自由で型にはまらない。技の種類は無限大」。3年前に始めた大野市の小学校教諭、今村舞さん(43)は魅力を語る。フェイスブックやインスタグラムといったSNS(会員制交流サイト)に投稿された動画を見て「『カッコイイ』からまねした」と話す。

 同じ技を数人で同時に決める「シンクロ」もストリートならでは。技が決まった瞬間、けん玉を乾杯するように付き合わせたり、ハイタッチしたり。永平寺町の会社員今澤泰介さん(24)は「一体感がたまらない。言葉はいらない」。中学2年の町中旭君(13)も世代を超えて「シンクロ」に加わる。

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 けん玉の種類は、昔ながらの「認定けん玉」のほか、さまざまなトリック(技)が決まりやすいよう玉に滑りにくい加工が施されカラフルな「ストリートけん玉」、子ども向けのプラスチック製おもちゃ「ケンダマクロス」など、多様なものが販売されている。

 ただ、県内のいずれの取扱店も「すごく売れたのは1、2年前」「今はそんなに売れていない」と声をそろえる。愛好家にある程度行きわたったのも一因とみられ、商業面では落ち着き始めているようだ。

 仁科さんは「けん玉は全身を使うので足腰が鍛えられるし、脳の活性化にもいい。高齢者向けにシフトした教室もやっていこうと思う」と話す。子どもの遊びから若者、そして高齢者へとさらに広がる兆しも見え始めている。

福井新聞社