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菊地成孔が初めてタトゥーを入れた理由 「刺青文化は絶対消えない」「絶対善の方がよっぽど怖い」

withnews 5/3(水) 7:00配信

 ミュージシャンで文筆家の菊地成孔さん(53)は昨年、生まれて初めてタトゥーを入れました。港町で刺青の洗礼を受けた少年時代、50歳を過ぎて意を決した理由、医師法によるタトゥー規制の是非……。あらゆるジャンルを股にかける異才が、独自のタトゥー論を語りました。(朝日新聞デジタル編集部記者・神庭亮介)

【画像】菊地成孔も惚れ込んだ腕 大島托が織り成す縄文タトゥーの世界

ヤクザ者の刺青に感じた永遠の触発性

 ――最近になってタトゥーを入れられたそうですね。

 去年、ヒンドゥー教のガルーダという神様を左腕に入れました。ヴィシュヌという神様の乗り物で、鳥の姿をしています。僕は無宗教だけど宗教には興味があって。ヒンドゥー教って少年マンガみたいにキャラクターの宝庫で、物語もすっごい面白いんですよ。

 機械彫りで6~8時間×2回で終了。想像していたよりも、ずっと痛みは小さかったです。手の甲なんて、さぞかし痛えだろうなあと思ってたけど、何てことなかった。女性は痛みに強いから、途中で寝てしまう人もいるらしいです。

 母が亡くなったのを機に入れた、とも言えるのかな。亡くなる直前に入れ始めて、完成する頃に亡くなりました。

 ――いつ頃からタトゥーを入れたいと考えていたのですか。

 5歳ぐらいですかね。家が千葉県の銚子で、飲食店をやっていて。物心ついた頃から店に出て注文をとって、皿を運んでいました。お客様には地回りの任侠や遠洋漁業の方もいて、刺青をしている方が多かったんですよ。半袖からチラッと見えることもあったし、夏場だと裸でケンカする人もいた。僕はケンカの後始末で血を拭いたり、歯を拾ったりしていました(笑)。随分かわいがられましたね。

 ファッション・タトゥーのファの字もない時代なので、みんな和彫りです。立派なものを背負っている人もいれば、筋彫り(図柄の輪郭線を彫ること)だけで終わっちゃった人もいた。指を詰めている人、片目や片腕がない人……。色んな人がいたけど、みんなカッコ良かったですね。怖さはまったくなかった。

 そんな風に身近でありながらも、刺青には永遠の触発性を感じていました。毎日ヤクザ者を見ていても決して刺青に慣れてしまうことはなくて、いつだってゾクゾクするんです。やっぱりスゴイな、カッコイイなって。港町全体がそんな雰囲気だったので、差別的な目線はありませんでした。

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最終更新:5/4(木) 22:06

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