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退職後に「また保育園で働きたい」と思う保育士がわずか4割しかいない理由

5/1(月) 17:10配信

ZUU online

過去に保育士として勤務経験のある人を調査したところ、「今後また保育園で働きたい」と考えている人は全体の約4割しかいないことが分かった。マクロミルが現在保育園で働いている150人、過去に保育園で働いていた150人を対象に調査した。サンプルは少ないが参考として見ていこう。

■辞めた理由の1位はあの問題

保育士の退職理由についてだが、過去に保育園を退職し、現在は働いていない潜在保育士に「今後また保育園で働きたいと思うか」と質問したところ、「また働きたい」と考えている人)は全体の42%しかいなかった(働きたい 13.3%、やや働きたい 28.7%の合計)。

「働きたい」以外を回答した人の内訳は、「どちらともいえない」25.3%、「働きたくない」が32.7%となっている(働きたくない 12.0%、あまり働きたくない 20.7%の合計)。

調査では、潜在保育士が保育園を辞めた理由についても言及している。辞めた理由の3位は「労働時間・勤務時間」、2位は「専業主婦・夫になった」、そして、1位は「給与」となった。1位の「給与」についてはより具体的な理由も紹介されており、「給与が労働時間と見合わない」「給与が責任の重さと見合わない」「長く勤務しても給与が上がらない」などとなっている。

■保育士は保育園問題をどうとらえている?

保育園問題というと、世間一般では保育園不足や待機児童の問題を思い浮かべる人が多いかもしれない。実際に保育園で働く保育士たちは、どのような問題を深刻だととらえているのだろうか。

マクロミルでは現役保育士と潜在保育士に対して、保育園に関するいくつかの項目について「問題だ」と感じるかどうかを調査した。その結果、最も問題であるとされたのは「給与水準が低い」ことで、全体の94%が「非常に問題だ」または「まあまあ問題だ」と回答している。

たくさんある問題の中でも、保育士たちが最も問題視しているのは「給与」の問題だ。マクロミルでは現役の保育士70人に、「理想の給与額」と「実際の給与額」を聞いている。自分の働きに対する理想の給与額の平均値は28万882円であったのに対し、実際の給与額の平均値は19万1176円でしかない。理想と現実との間に9万円もの差が出てしまっているという現状は、決して健全とは言えないだろう。

■なぜ保育の現場に戻らないのか

厚生労働省が2015年12月に発表した「保育の担い手確保に向けた緊急的な取りまとめ」によると、保育所保育士は約41万人いるという。一方で潜在保育士、資格はありながら保育士として就業していない人は70万人以上にのぼるとされる。また保育士養成施設の卒業者のうち約半数は保育所に就職しないという。

一旦保育士になったものの、退職してハローワークで求職活動をしている元保育士の約半数は、保育士としての再就職を望んでいないという。再就職を望まない理由のうち最も多かった回答は、「賃金が希望と合わない」というものだ。

マクロミルの調査によると、「賃金」や「休日」など再就職を望まない理由が解消されれば保育士としての就職を希望するか、という質問に対して、「希望する」と答えた人は63.6%もいる。

■「また保育園で働きたい」と思える未来に

現役保育士に「保育園で働き続けたいか」と質問したマクロミルの調査では、約8割の保育士が「働き続けたい」または「やや働き続けたい」という前向きな回答をしている。働き続けたい理由としては、「子どもが好きだから」「仕事にやりがいを感じるから」「子どもの成長に携わることができるから」といった回答が挙げられている。

しかし、「仕事が好きだから続けたいけれど、生活のことを考えると難しい」と、退職を決断する保育士は多い。潜在保育士がたくさんいるにも関わらず、慢性的な人手不足は続いている。退職した保育士の多くが、「また保育園で働きたい」と思える日はくるのだろうか。(渡邊祐子、フリーライター)

最終更新:5/1(月) 17:10
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