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大阪発バンド・空きっ腹に酒、不器用すぎる10周年

5/1(月) 18:00配信

Lmaga.jp

「バンドって楽しいなって、10年目ではっきり言えるようになった」

「こんな音楽10年もやってるって、日常生活ほとんど捨てたようなもんじゃないか!」(ワンダフルボーイズのSundayカミデ)、「今の時代、かっこいいと思うことをやり続けるのは難しい。大好きです」(夜の本気ダンス)など、バンドマンから熱い支持を集めるのは、大阪を中心に活動する4人組バンド・空きっ腹に酒だ。パンクにファンク、そしてヒップホップとさまざまなジャンルの音楽を組み合わせ、独自のスタンスを確立。2007年の結成以来、アルバムを6枚リリース、ライブ活動も毎年コンスタントにおこなってきた。

「空きっ腹に酒」というふざけた(?)バンド名からも、頑固一徹なこだわりが見えるように、10年間、このバンドは自分たちが信じる「かっこいい」をとにかく追求してきた。俗に言うパリピやライブキッズにほかのバンドがなびくなか、まったく媚びることなく、好きなことを一貫して続けてきた彼らの不器用さには、どこか愛すべきものがある。ボーカルの田中幸輝(以下、ゆきてる)とギターの西田竜大に、この10年を振り返ってもらった。

──失礼ですが、売れたいって思うこと、あるんですか?

西田「ありますよ、もちろんありますよ!(笑)」

ゆきてる「めちゃくちゃ売れたろって思ってますよ、できんのかお前らにって感じですけど(笑)。でも、なんか売れたいというよりも、かっこよく売れたい欲が強いんやと思います。かっこ悪いんなら売れなくてもいいって」

──かっこ良く売れたい・・・とは?

ゆきてる「これまでも結構怒られたんですよ、知り合いに。僕たちがかっこいいと思う音楽が、何もしなくても音楽だけが認められる世の中になって、それで生活していきたいんですよって言ったら、『甘えんな』って。でも理想はちゃんと持っておきたいと思うんです。理想を完全に忘れてしまって、納得してない音楽で売れようってなると、僕はかっこ悪いと思うんですよね。それはいやなんです」

──何もしなくても音楽だけが認められる世の中・・・今の時代はSNSなど自分たちでなんでも発信できるから、売れるためには音楽だけじゃなくて、自己プロデュース能力も問われますよね。

ゆきてる「そうなんですよね。自己プロデュース能力に関しては僕ら、ほぼないです(笑)。なんて言うんやろ、音楽を作ったり、ライブをするっていうことに関しては自信があるんですけど、自己プロデュースだったり、世間に対してちょっと寄せて行くみたいなことが全く出来ない人間たちなんで。そこらへんはすごい遅れとってんな~って思いますね(笑)」

──今、バンドのみなさんすごいですよね。SNSを駆使してる。

ゆきてる「ほんますごいですよね。なんか話聞いたら『ああ、これ全部計算やねん』とか言うから、お前ら何者やねん!って(笑)。このバンドはこうやって売れた!とか分析しすぎで。でもそれはそれで現代のバンド活動の形なんやろな~って思うし」

西田「分析しすぎで、おまえら神様か!って思いますよね」

──でも、その寄せられないところが、空きっ腹に酒の良いところなんじゃないですか。

ゆきてる「ね。そういう言葉に、ずっと甘えてきた10年でした(笑)」

──『生きるについて』『御乱心』『雨』などが収録された今回の新しいアルバム『粋る』も、空きっ腹に酒が今思う「かっこいい」が詰まってると思うんですが、どんなアルバムになりましたか?

西田「ポップなものを作りたいなって思ってて。僕はギターだけでどこまでできるかっていうのを基本的にチャレンジしたいタイプなんですけど、今回は逆にギターだけでそこまでせんかったらどんなん作るねん俺、って思って。トランペットとかキーボードといった楽器をガッツリ入れてみたらどうなるんやろっていうのに挑戦したって感じですね。もちろんギターにもこだわってますけど、その新しい試みが結構色濃く出てるんじゃないですかね」

ゆきてる「単純に良い音楽作ろうぜっていう方にメンバー全員の意識が傾いて、今回がそうやったってだけで、毎回ほんま気分なんですよね。そのとき作りたかった音楽を作ってる。なんかポップだったりキャッチーであることが、マイナスイメージで言われるときがあるんですよ。あたかも『丸くなって弱くなったな』みたいな。でもそういうことではなく、内にあったものを完全に出し切っただけなんです。昔からこういうことがやりたくて、10年間でいろんな音楽を聴いてライブをして吸収して、本来やりたかったことにどんどん近づいていってるという感じです」

──コピーに「10年の集大成」とは書いてますけど、今までも毎回アルバムを出すたびに吸収してきたものを出し切ってて、今回も今の「空きっ腹に酒」を出し切ったってことですよね。

西田「まさにそうです(笑)。毎回集大成なんで」

ゆきてる「なんかね、10周年っていう節目やから集大成って言ってますけど、1枚目のときも2枚目のときも集大成やったんで。単純にバンドが続いたってことがうれしいから、お祝いしてるっていう感じなんですけどね」

西田「めでたいもんな」

ゆきてる「振り返ってみたら、こんなバンドで10年続くって無理やろ~って思いますもん」

──バンドの解散や活動休止、メンバーの脱退などのニュースを見るたびに、バンドってやっぱ難しいんやなって思いますね。

ゆきてる「難しく捉えるか捉えないかだと思いますけどね。生みの苦しみはありますけど、生み終わって後は育てるだけっていうときはやっぱり楽しいし、音源にちゃんと表現できたときとか、ライブで消化されたときの喜びのほうが大きいから。バンドって楽しいなって、10年目ではっきり言えるようになりましたね」

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最終更新:5/1(月) 18:00
Lmaga.jp