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我が子は、友達と比べて…保護者はみんな「比べる病」

5/1(月) 17:01配信

ベネッセ 教育情報サイト

教育評論家の親野智可等先生が、保護者からの質問にお答えします。

【質問】
息子の友達が3人、よく家に来て一緒に遊んだり勉強したりします。その子たちは3人ともしっかりしていて、勉強もよくできて片付けも上手です。それに比べてうちの子はだらしがなく、ノートの字は雑、勉強はできない、片付けも下手ときています。男子と女子なら、男子だからしょうがないと思えるのかもしれませんが、男子同士なのでどうしても比べてしまいます。

相談者・あちこち48 さん(中学2年生 男子)

【親野先生のアドバイス】

あちこち48さん、拝読しました。

保護者という存在は常に我が子をよその子と比べてしまうものですね。さらには、きょうだいで比べ、自分が子どものころと比べ、マニュアルと比べてしまいます。
つまり、保護者はみんな「比べる病」にかかっているのです。比べると常に隣の芝生は青く見え、我が子はみすぼらしく見えてしまいます。
たとえ男子同士であっても、個人差というものもまた大きいものです。どの子にも持って生まれたものがあり、それぞれにオリジナルの成長ペースがあるからです。
それに成長が早ければいいというものではありません。促成栽培よりも大器晩成です。

さらに、比べる病だけでなく、保護者は常に我が子にないものばかりを求める「ないものねだり病」にもかかっています。そして、うちの子はあれができない、これもできないと嘆き、子どもを叱り続けます。
そうすると、お子さまは自分に自信が持てなくなりますし、がんばるエネルギーもわいてきません。叱られ続けることで、当然、親子関係も良好でなくなるでしょう。
本当はどの子もとてもよいところを持っているのですが、保護者にはそれが見えなくなっています。この2つの病気を治さないと、いつまで経っても安らかな日々はやってきません。
たとえお子さまがどんなにがんばったとしても、そしてどんなに成長したとしても、結局同じ小言を言い続けることになります。サングラスをかけていれば、すべてのものが白黒に見えるのと同じです。
お子さまに求めるのではなく、まず自分のものの見方を変えることが必要です。
ですから、もうこれからは「比べない」「ないものねだりをしない」と決意して欲しいと思います。

決意すると同時に、積極的に見方を変えていきましょう。効果があるのが「あるもの見つけ」です。それは、ありのままの我が子が既に持っているありがたいものを見つけるということです。

たとえば、だらしがないとはいっても、毎日明るく元気に生活しているわけです。
ノートの字が雑で困るとのことですが、それでも字は書けるのです。
勉強ができないとはいっても、そこそこある程度はできるはずですし、日本語が話せて数も数えられるはずです。
遊びの後片付けができないとはいっても、いろいろな物を使って遊べるのです。
それに、3人もの友達がよく家に来てくれて、いつも仲よく遊んだり勉強したりできるというのは、本当にありがたいことです。
ほかにも、走るのが遅いというかもしれませんが、それでも走ることができます。
自分で起きられないとはいっても、起こせば起きて歩いて動けます。

これらはすべて、本当にありがたいことです。
このように「あるもの見つけ」をすれば、ありのままの我が子がどれくらいすばらしいかわかります。
普段はそのありがたみを忘れて、できて当たり前になっています。失って初めてわかるというのが人間の常ですが、それではもったいないです。失う前にそのありがたさに気付いて感謝したいものです。

自分のありのままを受け入れて、肯定してくれる相手に対して、子どもは絶大な信頼を寄せるようになります。そうすると、親子関係がよくなって相手の話も素直に聞けるようになります。
また、ありのままの自分を受け入れてもらえることで、子どもは自分を肯定できるようになります。そうすると、がんばるエネルギーがわいてきます。

ところで、こういう発想の転換を、子育てにおいてだけで行おうとしても無理です。自分の生活・人生そのものにおいても、このような心がけでいくといいと思います。子育てをよいきっかけとしてとらえ、自分の発想自体を根底から変えましょう。

たとえば、あなたが夕食の準備のためにスーパーに買い物に行ったら、ものすごく混んでいたとします。その時、「なんでこんなに混んでいるの。レジも混んでいてまったくイライラする」となってしまいがちだと思います。
そう思ってしまうのも無理からぬことですが、そこで終わらないで、次にこう考え直してみてください。

「自分でスーパーに買い物に来られるだけでも感謝、感謝」
「スーパーで買い物できるお金があるだけでも感謝、感謝」
「私が作る夕食を待ってくれている人がいる。食べてくれる人がいる。ありがたいことだ」
「これだけの人が集まるから、この地域にこの規模のスーパーが存在できるのだ。そう思えばこの人混みに感謝、感謝」

日頃から、このようにしていると、子どもを見る時にも自然にできるようになります。

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

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