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話せる?「AV強要問題」のこと 「自己責任論」の中で感じた孤立、すぐそばにいるかもしれない被害者

5/7(日) 7:10配信

withnews

 若い女性がアダルトビデオ(AV)に無理やり出演させられる、AV強要問題。政党が対策チームを設置したり、政府が啓発イベントを開催したりするなど、社会問題として対策が進められています。ある日、この問題の取材を続けてきた先輩から、「女性目線で考えてみてくれない?」と言われました。そんなこと言ったって私(女27歳)、「AV」と口に出すことから恥ずかしい……。そんな私が啓発イベントを取材したら、現実とモヤモヤが見えてきました。(朝日新聞デジタル編集部記者・野口みな子)

【画像】「顔はバレない…」支援団体が実話を元に作った性被害の啓発マンガ

AV出演強要って、どういう問題?

 AV出演強要の被害は、18~25歳の女性に集中しています。モデルやアイドルという名目でスカウトされたり、高収入のバイトがあると聞いて応募したりなど、事務所と契約したことがきっかけで、同意していない性的な行為の動画の撮影をされる問題です。被害者からの窓口への相談件数も右肩上がりに増え続け、重大な人権侵害として対策が進められています。やめたいと言っても、とても払える額ではない違約金を求められ、親や学校にバラすよ、と脅されるなど、悪質な手口も特徴です。

 だけど私、芸能人になりたいと思ったこともありませんし、自分史上最高のおしゃれをして街を歩いてもスカウトに声をかけられたことがありません。そんな私が声をかけられても、高額な壺を買わされるか、怪しい事務所に決まっています。正直なところ、現実味がありません。

 何から始めていいかわからず、とりあえずいろんな人と話してみることにしました。

口に出す難しさ

 ある日、大学時代の女性の友人2人とランチに行きました。久しぶりに会ったので、お互いの近況や仕事、パートナーについてなど、話は尽きません。そういえば――、この問題知ってる?スカウトってされたことある?……2人に聞いてみたくても、いかんせんどうやって話を始めたらいいかわかりません。口を開こうにも、「AV」という言葉が喉でつっかえてしまいます。すると他の話題が始まってしまいます。

 参ってしまって一旦トイレの個室にこもりながら、「これは難しい仕事を受けてしまったのでは……」と思い始めました。私には「取材をしている」という目的があるにせよ、楽しいランチの場。「AV」という言葉がこんなに言いづらいとは……。やっと口に出せたのは、食後の紅茶が冷めてきた頃でした。

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最終更新:5/7(日) 7:10
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