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国民投票って何だったの?また国民に信を問う解散総選挙を決断した英メイ首相の思惑を解説

5/2(火) 7:00配信

選挙ドットコム

国民投票って何だったの?また国民に信を問う解散総選挙を決断した英メイ首相の思惑を解説

昨年6月、国民投票でEUから離脱すること(Brexit)を決定し世界を驚かせたイギリスが、再び世界を驚かせました。メイ首相は下院(日本で言うところの衆議院)の解散を目指すことを宣言したのです。

「昨年6月にEU離脱の国民投票を実施したじゃないか。今回の解散は何のため?」と思っている方も多いかもしれません。そこで今回は、メイ首相が解散を目指している理由を見てみましょう。

EU離脱国民投票から下院解散へ

昨年6月、イギリスは国民投票を行い、EUから離脱することを決めました。その混乱の責任をとって保守党のキャメロン政権は退陣し、その後同じく保守党のメイ政権が成立しました。メイ政権は国民投票の決定を受けて、今年の3月に「2019年3月29日に離脱すること」を正式にEUに通告し、そして現在も国益を守りつつ離脱するためにEUと交渉しています。

メイ首相は就任当初、下院解散の可能性を否定していました。しかし急遽、解散を目指すことを表明。サプライズとして大きな話題となりました。

どうしてメイ首相は解散を決断したのか?

メイ首相は解散を表明する会見で、「野党がEU離脱に反対しており、そのことが対EUの交渉力を損なっている」として批判しました。しかし、最大野党である労働党はメイ政権のEU離脱に向けた動きを妨害しているとは言い切れない面もあります。そのため、解散の直接的な理由ではなく、裏に秘められた狙いが存在します。

このタイミングで解散に踏み切る理由は大きく2つあります。1つ目は、EU離脱に関係なく、そもそもメイ政権の基盤が弱いということです。下院650議席中、与党保守党は330人にすぎません。そのため、与党議員数名が造反すれば、メイ政権の進める政策は頓挫してしまいます。

また、メイ政権は未だ選挙を経験しておらず、政策はキャメロン政権が2015年選挙の時に定めた綱領に大きく制約されています。そこで、解散し勝利することで新しく自分の政策を打ち出そうと考えられています。

2つ目は、最大野党労働党がとにかく人気がないということです。特に、コービン党首を支持する左派とかつてブレア元首相やブラウン元首相を輩出した右派との間で深刻な亀裂が生じており、コービン党首のもとでまとまりきれていません。そのこともあり、労働党は独自の政策をアピールできていないのです。

最近の世論調査によれば、メイ首相の所属する保守党は大きく勝つとされています。もし、世論調査の通りに大勝すれば、求心力が増してEU離脱交渉のみならず、他の政策も進めやすくなるとの計算の結果、このタイミングでの解散が進められることになっているものと思われます。

齋藤 貴