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子ども死傷火災…母子世帯への公的援助底上げを 児童扶養など対象外

5/2(火) 10:30配信

埼玉新聞

 埼玉県さいたま市南区沼影のマンション1階の飲食店女性(31)方で先月19日起きた火災で、留守番中だった0~5歳の子ども3人が死傷した。「安心して働ける状況になく、どんどん悪循環に陥ってしまう」。子ども3人を一人で育てている市内の30代女性は自身の境遇と重ね、苦しい生活実態を語った。母子世帯の平均所得は291万円で、児童のいる夫婦世帯の半分にも満たず、専門家は「一人親家庭への公的援助を底上げしなければ、繰り返されてしまう」と警鐘を鳴らしている。

 女性は小学生から中学生の子ども3人との4人暮らし。約2年前、夫と別居したが、生活費の仕送りはない。子どもの送り迎えや家事があるため、仕事形態はパート勤務。週5日、昼間に働いている。時給は900円で、月収は約8万円と、ぎりぎりの生活を送る。

 一人親家庭への公的な制度には、児童扶養手当があるが、支給対象となるケースは離婚が成立していたり、DV防止法により保護命令を受けている場合など、一定の要件がある。女性は夫と別居状態で要件に当てはまらず、児童扶養手当の対象外。仮に扶養手当がこの女性に適用されれば、子ども3人分の全額で月計約5万8千円が支給される。

 女性は「簡単に離婚が成立するケースばかりではない。離婚している状態なのに、手当の対象から外されてしまう。日々切り詰めていて生きていくのがやっと」とこぼず。

 夫と別居後、女性は生活を立て直そうと、生活保護の窓口に相談に行ったが、「車を所有しているから受給は難しい」と言われた。車は子どもの送迎に必要なため、手放すことはできなかった。

 南区のマンションでは火災発生時、母親が仕事で外出中だった。女性は「昼夜関係なく、母一人で働いていれば子どもに留守番させざるを得ない状況はある。仕事をしなければ生活できないのに、安心して働ける状況にないのが問題」と嘆く。学童保育など、子どもを預ける施設を探したが、金銭面の負担が増えるため断念した。留守番させる際は、ストーブを使用させないなど、安全面で言い聞かせるしかないという。 

 女性は今、「(マンション火災の)母親の精神状態が心配」と心を寄せる。「火災の起きた事実だけを見ず、シングルマザーの現状に目を向けてほしい。行政は個々の状況を見て、柔軟に寄り添ってほしい」と訴えた。

最終更新:5/2(火) 10:30
埼玉新聞