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バスケ戦術深める「裏方の星」 日本代表導くデータ分析力

5/2(火) 16:55配信

沖縄タイムス

日本バスケットボール協会 テクニカルスタッフ 末広朋也さん(29)=宮古島市出身

 男子バスケットボール日本代表に帯同し、試合分析やプレー集の作成などを担う。「チームの課題を映像やデータで『可視化』し、コーチ、選手間で活用してもらう。チームが軌道修正するための根拠を提示するのが自分の役割」と強調する。

 蓄積された試合映像を基に、専用のソフトでカギとなるプレーを抜粋、分析する。その情報は随時、タブレット端末で共有され、戦術を深める上での重要な確認資料となる。本場NBAで発達し、バレーボール全日本も導入する技術は「頻繁に選手が入れ替わる中で、いかに的確な情報を出すか」が腕の見せどころだ。

 宮古高校を卒業後、体育教師を目指して、東海大学体育学部に進学した。「プレーヤーとして、バスケットをずっと感覚でやってきたが、教える側に立ってみたい」と、学生を続けながら、指導員派遣の会社に登録、小中学生を相手に公園や体育館で個人指導をやってきた。「練習メニューも自分で考案した。一からバスケットを見直すきっかけになった」

 4年次からは体育会のバスケット部に学生コーチとして入部。全国からトップ選手が集う屈指の強豪チームで戦術を学んだ。元々、野村克也氏のID野球に興味があり、「コーチングの理解が早まるのでは」と、映像分析ソフトを使い、遊び感覚でデータ作成を行うと、チームから高評価を受けた。

 転機となったのはその年の夏。男子日本代表の台湾遠征で、ビデオ撮影スタッフとして声がかかった。わずか2週間の経験だったが、収集した映像を基に緻密な戦術を組み立てるトップの現場に「データの活用は選手の成長や戦術浸透を確実に加速させる」と確信した。

 大学卒業後、日本バスケットボール協会(JBA)から誘いを受け、分析スタッフとして働く。フル代表だけでなく、各世代代表の分析も1人で担当、国際大会で20カ国以上に赴いた。その働きぶりは「日本でトップ3に入る分析技術。選手が表の星ならば、末広君は裏方の星だ」(東野智弥技術委員長)と一目置かれる。

 7月の男子U-19(19歳以下)世界選手権に向け、多忙な日々が続く。「技術の進歩で得られるデータ量は増えているが、大切なのは何を選別し、伝えるか。結局最後は人と人とのコミュニケーションです」と笑顔を見せた。(小笠原大介東京通信員)

【プロフィル】すえひろ・ともや 1987年宮古島市生まれ。小4でバスケットを始める。宮古高校を経て、東海大学体育学部に進学。4年次にバスケ部学生コーチとなり、独学でデータ分析を学ぶ。卒業後、JBAテクニカルスタッフに。男子日本代表を筆頭に、ユニバーシアード、U-18、U-16など幅広い世代を担当する。

最終更新:5/2(火) 16:55
沖縄タイムス